対馬康子とは? わかりやすく解説

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対馬康子

対馬康子の俳句

あの朝が死ぬ朝だった鉄線花
いつもかすかな鳥のかたちをして氷る
たましいを攫いに来たる秋祭
どれほどの雲の冷たさ盆の月
ゆっくりと涙が耳へ水中花
オルガンのペダルを踏んで枯野まで
ガラス切る音を短く冬銀河
キャンドルになりたき黒人少女のイヴ
チェロ弾きのめくる譜面の星月夜
マフラーをはずせば首細き宇宙
マーガレットそれより白き産着干す
一ところより行きどころなき瀑布
乳与う胸に星雲地に凍河
全裸なり波ひたひたと寄る術後
十月の雨の匂いがして受胎
号泣の眼の端をゆくかたつむり
告白を始める息をして泳ぐ
国の名は大白鳥と答えけり
国中の時計の音がして夕立
地下鉄のキップは蝶のようなもの
夜光虫乳房ふくらむ頃に見し
夫婦の夜氷菓の中に匙残し
宗教の欄空白のままに春
寒鯉の谺のごとく底より来
寝返りし子は月光に近づきぬ
巣立鳥ひかりの声に呼ばれたる
引鶴の天に抱き上げられしかな
思いきり水飲んで蛇穴に入る
恋人も枯木も抱いて揺さぶりぬ
手繰るたび夜空を伝う毛糸玉
手袋の五指恍惚と広げおく
手鏡の背中恐ろし夏の恋
教会の奥ほど氷雨激しかり
新成人川なき橋を渡りけり
新緑や愛されたくて手を洗う
欠けてゆく月の音して雛道具
火口湖の深さを秋の天という
物蔭に砂山の如桜あり
異国の血少し入っている菫
胎動は氷河きらめくときにあり
花火より火の棘降りてくる他国
藍の花甕はイランの大きさに
蛇打たれ笑い崩るる如く死す
蝶結びほどけば幾千万の蝶
象使い銀河に集い来て眠る
遍路笠一人はピエロかも知れず
道光りおり母の日のニューヨーク
遠景はいつも幼年いわし雲
髪洗うたび流されていく純情
鳥渡る地に残されし哺乳瓶
 

対馬康子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/05 21:07 UTC 版)

対馬 康子(つしま やすこ、1953年10月22日 - )は、日本の俳人

経歴・人物

香川県高松市に生まれる[1]。小学校高学年より詩に興味を持ちはじめ、香川県立高松高等学校時代は文芸部に所属[2]1972年日本女子大学文学部国文学科に入学[1]、文芸部に入部し同人誌に詩や短文を執筆。東大学生俳句会と文芸部との合同ハイキングで西村我尼吾と出会い俳句を作り始める[2]

1973年、国文学科教授中島斌雄が主宰する「」入会。同時に東大学生俳句会に学外参加し、東大ホトトギス会にて山口青邨の選を受ける。1976年」同人[1]。大学卒業後、日本女子大学学生課に勤務。1978年我尼吾と結婚[2]1981年より我尼吾のイェール大学留学に伴いコネティカット州ニューヘブン1983年まで住む。1984年、海外生活時代の作品により第28回麦作家賞。

1990年有馬朗人の「天為」創刊に参加[2]。1993年8月赴任によりバンコクに移る。1994年朝日新聞国際衛星版にて「アジア俳壇」創設[2]2003年まで続ける。1996年帰国。1999年松山宣言」起草に参加。同年正岡子規国際俳句賞調整委員。2001年、2016年俳句甲子園審査委員長。2001年より2013年まで「天為」編集長[1][2]2002年より芝不器男俳句新人賞選考委員。 2015年、永年の作句活動、国内外の俳句振興への貢献により文部科学大臣表彰。 2015年11月荒川区「俳句のまち宣言」起草委員会委員長を務めるなど、区の文化振興により、荒川区特別功労者表彰を受ける。2019年、第10回桂信子賞受賞。

句集に『愛国』[1][2]『純情』『対馬康子集』[1]『天之』[2]『竟鳴』、共編著に『新撰21』『超新撰21』、『現代俳句の鑑賞事典』などがある。

」会長、「天為」最高顧問[1][2]現代俳句協会副会長、東京都俳句連盟副会長、国際俳句交流協会理事、日本文藝家協会会員。

脚注

  1. ^ a b c d e f g 『現代俳句大辞典』三省堂、2005年11月20日、354頁頁。ISBN 4-385-15421-X 
  2. ^ a b c d e f g h i 『現代俳句の鑑賞辞典』東京堂、2010年5月10日、174頁頁。 ISBN 978-4-490-10779-1 

参考文献

  • 対馬康子 『セレクション俳人13 対馬康子集』 邑書林、2004年
  • 坂口昌弘著『平成俳句の好敵手』文學の森

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