対ダム攻撃用爆弾(アップキープ爆弾)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/07/10 14:27 UTC 版)
「反跳爆弾」の記事における「対ダム攻撃用爆弾(アップキープ爆弾)」の解説
RAFは、第二次大戦前から、ドイツの水力発電ダムの重要性を認識していたが、これを破壊するためには大量の爆薬と高い命中精度が必要になると見積もっていた。魚雷攻撃については、ドイツがダム上流に魚雷防御網を設置していたため、効果がないと判断されていた。バーンズ・ウォリスは、反跳爆弾を使用することで、このようなダムを破壊できるのではないかと考えた。 1943年始め、バーンズ・ウォリスは、「ダムに対する爆撃(Air Attack on Dams)」と題する報告を完成した。 RAFはこの爆弾を早急に必要としていたため、完成したヴィッカーズ・タイプ464、コードネーム・アップキープ(Upkeep)爆弾はバーンズ・ウォリスが当初考案したものとは異なっていた。正式名称「Upkeep store」と呼ばれるこの爆弾は、爆弾重量4,200kg(9,250lb)(トーペックス炸薬量3,000kg(6,600lb))で、水面下での爆発が効果的であった。爆弾の形状は、長さ152cm(60インチ)、直径142cm(56インチ)の円筒状で、投下前に毎分500回転のバックスピンがかけられた。高速で回転する爆弾を、速度386〜402km/h(240-250mph)、距離365〜457m(400-500ヤード)で高度18m(60フィート)という超低高度から投下することで、爆弾は水面を跳ねながら魚雷防御網を飛び越えてダム手前に到達する。正確な高度を維持するために、スポットライトを利用した。ダム手前で水没した爆弾は、水圧感応型信管によって水深9.1m(30フィート)で爆発するようになっていた。水圧感応型信管が作動しなかった場合に備えて、化学式時限信管も取り付けられていた。 アップキープ爆弾は、1943年5月のチャスタイズ作戦で第617飛行中隊によって使用され、ドイツ工業地帯のダムを2カ所を破壊、4カ所に被害を与えた。指揮官のガイ・ギブソン中佐はこの功により、ヴィクトリア十字章を授与された。
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