客人の来訪
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/18 20:02 UTC 版)
こうした忠誠心のために、女神アテーナーは、パイアーケス人の国から帰国したオデュッセウスに対して、まず最初にエウマイオスを訪ねるよう勧めた。またスパルタを訪問しているテーレマコスに対しては、帰国するとエウマイオスを訪ね、ペーネロペーに彼を遣わして無事を知らせるよう助言した。 正体を隠したオデュッセウスが訪れたとき、エウマイオスは豚飼いたちの家の前に座り、牛皮を切ってサンダルを作っているところだった。しかしオデュッセウスを見た飼犬たちが激しく吠え立てると、エウマイオスは牛皮を放り出して犬を追い払い、主人と気づかないままオデュッセウスを客人として手厚くもてなした。エウマイオスは客人に、主人がすでに死んでいるのではないか、求婚者たちはオデュッセウスの死を神に聞いたために、オデュッセウスの帰国を恐れることなくその財産を食い荒らしているのではないかなど、思っていることを話した。 オデュッセウスはエウマイオスの言葉を聞いて、主人は年内に帰国され、求婚者たちを誅殺してくださるだろうと誓言した。しかしエウマイオスは信じずに話題を変え、客人自身のことを尋ねた。そこでオデュッセウスは嘘の身の上話をして、その中でオデュッセウスの消息について語ったが、エウマイオスは以前にアイトーリア地方から訪れた客人の与太話に騙されたことがあったため、やはり信じようとはしなかった。オデュッセウスはさらに、主人が帰国しなかったら大石から投げ落としてくれて構わないとまで言った。 結局最後までオデュッセウスの言葉を信じなかったエウマイオスではあったが、他の豚飼いが帰って来ると夕食の用意をし、ニュムペーたちとヘルメース神に捧げる分を含め、肉を人数分に切り分けて配り、オデュッセウスには特に長い背中の肉を与えて喜ばせた。またオデュッセウスの寝床を用意し、自らの外套を身に掛けてやった。 さらにオデュッセウスはエウマイオスの忠誠心を試そうと考え、物乞いをしに町まで行くつもりだと言い、誰か案内をしてくれる者はいないかと尋ねた。またオデュッセウスの館に行って下男として雇ってもらえないか求婚者たちに頼んでみるとも言った。するとエウマイオスは怒って、求婚者たちは乱暴者ばかりだと言い、テーレマコス様がやって来たなら良くしてくれるだろうからと言って引き止めた。
※この「客人の来訪」の解説は、「エウマイオス」の解説の一部です。
「客人の来訪」を含む「エウマイオス」の記事については、「エウマイオス」の概要を参照ください。
- 客人の来訪のページへのリンク