完全非弾性衝突
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/25 00:07 UTC 版)
質量の等しい物体の完全非弾性衝突 完全非弾性衝突は系の運動量エネルギーが最大限散逸する場合におこる。完全非弾性衝突、つまり反発係数が0の場合は、衝突粒子はくっつき合う。この場合、運動エネルギーは二つの物体の結合により失われる。この結合エネルギーにより、通常運動エネルギーが最大限失われる。運動量保存を考慮する必要はある(注意: 上の例のようにブロックが滑る場合は運動量の保存は床との摩擦が無い場合にのみ成り立つ。摩擦のある場合、二物体系の運動量はすべるにつれて床へ伝わっていく。同じように、空気抵抗のある場合も空気へと伝わっていく)。下に示す方程式は上の二体系(物体 A, B)について成り立つ。この例の場合、床と物体との間に摩擦は無く運動量は保存される。 m a u a + m b u b = ( m a + m b ) v {\displaystyle m_{a}u_{a}+m_{b}u_{b}=\left(m_{a}+m_{b}\right)v\,} ここで、v は終端速度であり次のように与えられる。 v = m a u a + m b u b m a + m b {\displaystyle v={\frac {m_{a}u_{a}+m_{b}u_{b}}{m_{a}+m_{b}}}} 総運動エネルギーの減少は二つの粒子に対する運動量中心系(英語版)における衝突前のエネルギーに等しい。 なぜなら、この基準系では衝突後のエネルギーは0だからである。この基準系においては、衝突前の運動エネルギーはほとんど質量の小さい粒子によるものである。別の基準系では、運動エネルギーの減少だけでなく粒子から粒子への運動エネルギーの移動も起こりうる。これが基準系に依るという事実はこれが相対的な現象であることを示している。 時間をおいて見れば、二つの物体は押し当って離れる。たとえば、弾丸の射出やロケットの推力が挙げられる(ツィオルコフスキーの公式の導出も参照されたい)。
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