妲妃のお百と秋田騒動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 15:20 UTC 版)
『秋田杉直物語』には那珂忠左衛門の妾である「お百」が登場する。お百は元々、京都の貧者の娘で、その美貌と鋭利な頭脳で何人もの男の妻や妾になっていた。彼女が中国史上の最大の悪女と噂される妲妃になぞらえ、「妲妃のお百」として日本最大の悪女であると扱われる根がここにある。お百は脚色され、桃川如燕(2代目)の講談『妲己のお百』や実録物『増補秋田蕗』『秋田奇聞妲己於百伝』、河竹黙阿弥の狂言『善悪両面児手柏』、二世為永春水の『厚化粧万年島田』、清水米洲編集の『脇田奇聞 姐妃の高髷』といった作品に悪女として登場し、同時にこれらの作品では秋田騒動が語られている。明治時代に成立した『増補秋田蕗』では、お百が主人公となっており、佐竹藩の御用船によって滅ぼされた海坊主の怨念がお百にとりつき、彼女は数々の悪事をするという筋書きである。特に、殺した亡霊の魂が現れても平然として、灯りとして利用する場面は人気がある。 お百がこれほどまで、悪女として扱われるのは,海音寺潮五郎は育ちが育ちなので、厳格な武家女房にはなれまいと思われていたが、「昨日までの風俗に引き替え、武家の妻の行儀をたしなみ、まことに気高く、いみじきこと言うばかりなし」であるからとしている。「お百」が実は悪い女でなかったという設定の小説を、海音寺潮五郎は『哀婉一代女』で描いている。
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