奇跡的な発見
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/18 21:45 UTC 版)
「アルディ (アルディピテクス)」の記事における「奇跡的な発見」の解説
アルディの発見は1994年のことだったが、そのきっかけとなる発見は、1992年にさかのぼる。1992年12月17日、ティム・ホワイト(英語版)の調査チームに参加していた東京大学の諏訪元は、既知の種と異なるホミニンの歯を発見した。その歯は石ころに混じっていたため、諏訪のような化石人骨を見分ける訓練を積んだ者でなかったら見落とされていただろうとも言われている。その歯が進化の特徴を読み取りづらい第三大臼歯(いわゆる親知らず)であったことから、諏訪自身には落胆する気持ちもあったというが、この歯の発見がきっかけとなり、周辺で新たなホミニンの発見が相次いだ。これがのちに「アルディピテクス・ラミドゥス」と呼ばれることになる化石人骨群であった。 その発見を踏まえて周辺の調査がさらに続けられ、1994年11月に、調査隊の一人ヨハネス・ハイレ=セラシエ(英語版)が、潰れた箇所もあったものの、かなりの部位が残った化石人骨を発見した。これが後に「アルディ」と名付けられた個体である。骨格が見付かったのはアワッシュ渓谷中流域(英語版)のアラミス(英語版)と名づけられた場所である。アルディの破損は死後カバなどの大型動物に踏まれたものと推測されているが、それによってハイエナなどに食い散らかされる前に泥に埋もれることができ、かえって比較的良好な保存状態になったと考えられている。アルディの生息環境は類人猿のそれと類似していたと考えられているが、森林が多いそのような環境では、類人猿は肉食獣の餌食にならなくても、樹下に落ちて死体が腐敗した後、骨も風化してしまうので、同じ時期の類人猿の場合、全身骨格どころか、骨片の発見すらきわめてまれなことである。そのような貴重な骨が地表に露出し、風化しないうちに発見されたことについては、ルーシーをはじめとする様々な化石人骨発見の場に居合わせてきたティム・ホワイトをして、「奇跡としか言いようがない」と言わしめた。のちに研究グループに加わる比較解剖学者のオーウェン・ラヴジョイ(英語版)もまた、初めてその骨格を実見したときのことを「重要な部分がすべて残っていると気づくのに、10分ほどかかりました。すごい、まさに奇跡だと驚きました」と述懐している。
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