失敗事例としてのスーパートラム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/02 05:43 UTC 版)
「シェフィールド・スーパートラム」の記事における「失敗事例としてのスーパートラム」の解説
1994年に開業したスーパートラムであるが、開業当初から乗客は低迷、全線開業後の1995年度は800万人、翌96年度は1000万人に留まった。此の結果、初年度が約560万ポンド、95年度は1260万ポンドの赤字が発生し、運営会社は深刻な財政問題に直面した。 利用者低迷の原因として トラムと並行して走るバスルートの再編が規制緩和によって不可能となり、民営バスとの価格・サービス競争に巻き込まれた。 地形的な理由からトラムのルートが急勾配を避けて迂回した形態となり、所要時間が短い都心直行バスに比べて不利となった。 運賃収受に信用乗車方式を採用したが、バンダリズム(破壊行為)による機械の故障や規則を厳密に運用しなかった結果、機能しなかった。 トラムとバスの共通利用が州全体有効の一部の切符を除いて不可能だった。 パーク&ライドの駐車場位置が中途半端だったり、主要道路から外れていて使用しづらかった。 自動車を持てない層を対象に計画されていた住宅開発が行なわれなかったり、沿線の高層アパートが取り壊されたりした結果、乗客となるべき沿線住民を失った。 駅が沿線の大規模ショッピングセンターから離れた所につくられた 等が指摘されている。 此の状況を受け、96年10月からは全区間で車掌を乗務させて運賃収受を行うと共に、民営化方針に則り、1997年12月にはバス会社であるStagecoach(ステージコーチ)に2024年までの運営権と共に運営会社を当初予定額の1.5%である115万ポンドで売却した。 シェフィールドの事例はライトレールを建設するに際しての企画立案、他の公共交通との調整の重要性を認識させるケースとなった。
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