大西洋貿易の影響と東ヨーロッパ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 07:36 UTC 版)
「近世における世界の一体化」の記事における「大西洋貿易の影響と東ヨーロッパ」の解説
大西洋経済圏の形成は、ヨーロッパ内部の経済構造にも大きな影響を与えた。中世以来の地中海、バルト海を舞台とする商業活動に大西洋貿易が加わり、やがて貿易量や扱う産品の重要性において前者を圧倒、イタリアや南ドイツの諸都市にかわってリスボンなど大西洋に面した都市が繁栄することとなった。大西洋貿易の中心となった西ヨーロッパでは、生産の促進と雇用の増大がみられ、毛織物生産や火器、雑貨、造船を始めとする工業やコムギを主とする農業が共に活性化し、その後の資本主義の展開の土台が形作られた。 その一方で、エルベ川以東の東ヨーロッパ、とくにバルト海沿岸地域では、拡大する西欧経済からの穀物や木材の需要に支えられ、領主が農奴を使役して西欧向けに穀物を作らせる農場領主制(グーツヘルシャフト)が発展した。これは農奴制の創設および強化を意味しており、その結果、ムギと木材は西欧に輸出され、対価として領主たちは西欧の工業製品を購入した。東欧経済は西欧に対し従属的な位置におかれることとなるが、農場経営者である領主貴族には富がもたらされた。
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