大深度地下利用法(だいしんどちかりようほう)
地下の深い場所について、土地所有者の権利から切り離し、補償なしで特別に公共事業に利用できることを定めた法律。2001年4月施行。
この法律では、地表から40メートル以深の地下空間を「大深度地下」と定義している。生活に密着した公益性の高い事業に対して特別の措置を講じることで、地下の無計画な開発を防ぐとともに、大深度地下の適正かつ合理的な利用を目指すもの。
対象となる地域は、東京・大阪・名古屋の三大都市圏。道路事業や鉄道事業などを中心に、電気・ガス・水道などのライフラインの整備事業にも、大深度地下利用法が適用可能だ。
一般に、大深度地下は通常利用されない空間だと考えられるので、公益性の高い事業のために事業区域を使用する権利を設定しても、補償すべき損失は発生しない。そのため、国土交通大臣または知事の認可さえあれば、大深度地下の円滑な利用を進めることができる。
国土交通省の扇大臣は、東京外郭環状道路(外環道)の建設について、一部の区間において大深度地下を利用したトンネル方式で進める考えを示した。難航していた用地買収の必要がなくなるほか、事業費を削減できるという。
1966年に都市計画が決定されて以来、周辺住民の反対で凍結されてきた外環道の建設に突破口が開かれる可能性もあるが、国土交通省や東京都、関係自治体、周辺住民で合意が得られるかどうかは定かでない。
(2003.01.14更新)
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