変身譚・報恩譚
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/09 07:08 UTC 版)
「変身譚」も参照 東西の神話・民話・伝説などにおいては、しばしば人間が動物に変身したり、あるいは動物に人間に変身したりといった話が見られる。紀元1世紀のオウディウス『変身物語』のように「変身」そのものに興味が注がれていると見られる例もあるが、人間が動物に変わる物語の場合は、しばしば悪魔の性質や、仏教における因果応報、輪廻などの観念の説明となっているもの、あるいは人間社会を批判するための客観的な立場を得るために人間以外の動物に変身するといったものの例も散見される。後世においてはガーネットの『狐になった奥様』 (1922)、フランツ・カフカの『変身』 (1915)、中島敦の「山月記」 (1942) などが、人間が動物になる変身を素材とした近代文学の作例である。 日本においては「鶴の恩返し」や「狐女房」「蛤女房」のように、動物が人への恩返しのために人間(異性)の姿になって現れる動物報恩譚が変身物語と結びついている(ただし変身しない恩返しの話も多い)。動物を助けることによって富がもたらされるという話形は西洋の昔話においても珍しいものではないが、このように動物が人間の異性の姿になって、恩を受けた人間と結婚する、という話は西洋ではあまり見られないタイプのものである。なお西洋の物語においては、変身は一般に霊薬などの外部の超常的な力によってもたらされるものとして描かれるのに対し、日本の伝統的な変身物語では、変身者が自身に内在する力によって自ら変身するというかたちで描かれるという点にも特色がある。
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