変形性頚椎症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/13 06:47 UTC 版)
変形性頚椎症では感覚障害や筋力低下、筋萎縮などの症状が緩徐に進行し、以後停止性になることが多いが、しばしば数ヶ月程度の比較的急速に筋萎縮が出現する。症状の発現が体位や姿勢と関連しており、頸部の進展や屈曲などの運動で上肢あるいは手指にしびれや疼痛が出現することが多い。さらに変形性頚椎症では臥上安静で症状の改善をみることが多い。筋萎縮性側索硬化症では安静で症状は軽快しない。また変形性頚椎症では球麻痺症状は認められない。 flail arm型の筋萎縮性側索硬化症とキーガン型頚椎症性筋萎縮症はしばしば鑑別が困難である。キーガン型頚椎症性筋萎縮症は硬膜下でC4、C5、C6、特にC5とC6の前根のみ障害される頚椎症の特殊なタイプである。棘上筋、棘下筋、三角筋、上腕二頭筋、腕撓骨筋などの上肢近位部や肩甲帯の筋力低下や筋萎縮が主徴である。感覚障害や長経路徴候は認められない。 頚椎症と筋萎縮性側索硬化症の鑑別のポイントとして下記の内容が知られている。 感覚障害 筋萎縮性側索硬化症では体の痛みや手指などが一枚皮に覆われた感じなど自覚的な感覚障害がしばしば認められるが、他覚的感覚障害は認められない。一方、頚椎症では病変レベルに一致した自覚的および他覚的感覚障害がみられ、特に他覚的感覚障害の存在は筋萎縮性側索硬化症との鑑別に重要である。 線維束性収縮 筋萎縮性側索硬化症では早期に顔面筋(特にオトガイ筋)や四肢筋で約90%の頻度で認められるが、頚椎症ではほとんど認められない。 解離性小手筋萎縮症 解離性小手筋萎縮症(split hand)は筋萎縮性側索硬化症で特徴的に認められる。 上位運動ニューロン症状 頚椎症の好発部位は下部頚椎である。下顎反射の亢進、頭後屈反射の出現、肩甲上腕反射の変法(Shimizu)の亢進は頚椎症よりも筋萎縮性側索硬化症を疑う。 頸部筋の筋力低下 頚椎症の好発部位は下部頚椎である。そのため頚椎症では頸部筋の筋力が保たれることが多いが筋萎縮性側索硬化症では頸部筋の筋力低下をきたす。 副神経支配筋の針筋電図 上部僧帽筋や胸鎖乳突筋の脱神経所見は頚椎症では通常は認められない。 短期間の体重減少 筋萎縮性側索硬化症ではしばしば短期間の体重減少が認められる。
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