境界層制御
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 08:25 UTC 版)
「ブラックバーン バッカニア」の記事における「境界層制御」の解説
バッカニアは、主翼と水平尾翼の双方に吹き出し式フラップ (Blown flap) による境界層制御機構を組み込んでいるのが特徴の一つである。 バッカニアは低空侵攻攻撃機であるので、低空での突風(ガスト)の影響を抑え、かつ空気抵抗を低くするには翼面荷重と翼幅荷重を高く(=主翼をなるべく小さく)する必要があった。 しかしバッカニアは空母での運用を前提とする艦上機なので、発艦・着艦速度を抑えるためには逆に翼面荷重と翼幅荷重を低く(=主翼をなるべく大きく)する必要があるという、二律背反に陥った。 そこで、主翼がある程度小さくても発艦・着艦速度を下げることができるように、保守負担の増加を甘受してでも吹き出し式フラップによる境界層制御機構が組み込まれた。 吹き出し式フラップは、主エンジンの圧縮機から抽出した圧縮空気を、前縁フラップのヒンジ上面から主翼上面へ、後縁フラップのヒンジ上面からフラップ上面にそれぞれ這わせるように勢いよく噴出させることで、コアンダ効果により周辺の境界層を巻き込み、高迎角での境界層剥離による失速を防ぐ。 さらに水平尾翼の前縁下部からも水平尾翼下面に沿って噴出させることで、迎角を取るために大きく下げ舵を取っている水平尾翼下面の失速を防ぐようになっている。 これにより、発艦・着艦時には低速でもより大きな迎角を取ることで揚力を維持できるようになり、発艦・着艦速度の低下につながった。南アフリカ空軍のS.50型の離陸滑走を例にとれば、境界層制御不使用時には滑走距離3,700フィート(1,128 m) /離陸速度175ノット(324 km/h; 201 mph)が、境界層制御を使用すると滑走距離3,000フィート(914m)/離陸速度144ノット(266 km/h; 165 mph)に低下している。
※この「境界層制御」の解説は、「ブラックバーン バッカニア」の解説の一部です。
「境界層制御」を含む「ブラックバーン バッカニア」の記事については、「ブラックバーン バッカニア」の概要を参照ください。
Weblioに収録されているすべての辞書から境界層制御を検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。

- 境界層制御のページへのリンク