地球以外の天体でのSSTO
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/22 22:56 UTC 版)
「単段式宇宙輸送機」の記事における「地球以外の天体でのSSTO」の解説
地球におけるSSTOはいまだ実現には至っていないが、月でのSSTOはアポロ計画のアポロ月着陸船の上昇段で実現されている。月の低重力ならば、SSTOは難しいことではない。ただしアポロ月着陸船の場合は、着陸する際に使用した下降段(総重量の6割)は切り離し月面に投棄している。 さらに重力の小さい小天体であれば、完全なSSTOもしばしば実現されている。2005年に小惑星イトカワを探査したはやぶさは、月以外の天体としては初めて着陸後に離陸しており、これは機体の下段を投棄したアポロの月着陸船と違って着陸・離陸を、サンプル採取という輸送目的も達成しつつ行うという、完全なSSTOが実現された。似たような例としては他にも2014年に彗星探査機ロゼッタの着陸機フィラエが着陸に失敗し、バウンド(このとき偶然サンプル採取)後に数時間ほど飛行して再着陸後にサンプルを分析したケースもあるが、こちらは自力での離陸やサンプル輸送を意図した設計では無い。はやぶさ2ミッションでフィラエの技術を応用した着陸機MASCOTに至っては2018年に自力でジャンプしての移動・探査も達成したが、いずれにせよ対象天体の重力圏を脱出できるほどの設計ではなかった。なお、はやぶさミッションでもエクストラ扱いではあったが似たような意図の分離子機「ミネルバ」が搭載されていたが、そちらは放出が適切なタイミングで行われず、結果として近傍の惑星軌道に乗った人工惑星となったものと推測されている。こちらについても後継機ミネルバ2にて小惑星上のジャンプ移動・探査には成功している。
※この「地球以外の天体でのSSTO」の解説は、「単段式宇宙輸送機」の解説の一部です。
「地球以外の天体でのSSTO」を含む「単段式宇宙輸送機」の記事については、「単段式宇宙輸送機」の概要を参照ください。
- 地球以外の天体でのSSTOのページへのリンク