地域構造とその変化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/29 19:59 UTC 版)
黒部川扇状地は人文地理学の関心の対象としても注目されている。ここでは、筑波大学人文地理学教室による研究例を挙げる。 千葉徳爾は1972年、雑誌『地理』において1950年代の地域構造を発表した。その中で黒部川扇状地の農村を表すキーワードとして水稲単作・低反収・出稼ぎを挙げている。当時の黒部川扇状地は市場から遠く、寒冷な気候や土壌の保水力が弱いことが要因だとしている。(ただし、流水客土事業が終了しており、この内容は時代遅れである。) 一方田林明は1991年、『扇状地農村の変容と地域構造』を著し、1980年代の情勢を述べた。ここでのキーワードは以下のように変化し、「生活の都市化」が起きている、とした。 水稲単作→転作作物の拡大(球根・タバコ等) 低反収→高収量・良質米 出稼ぎ→通勤兼業 背景としてモータリゼーションの進展、工場の進出、稲作技術の発展などがある。 こうして見ると黒部川扇状地は30年間ですっかり様変わりしたように見えるが、扇状地・積雪・(大都市からの)遠隔地などの性格は、どちらの年代でもキーワードとして取り上げられ、変化していない部分もある。
※この「地域構造とその変化」の解説は、「黒部川扇状地」の解説の一部です。
「地域構造とその変化」を含む「黒部川扇状地」の記事については、「黒部川扇状地」の概要を参照ください。
- 地域構造とその変化のページへのリンク