地域振興論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/15 03:28 UTC 版)
藻谷浩介による指摘 藻谷浩介は『ニッポンの地域力』(日本経済新聞出版、2007年9月)において次のような指摘をしている。 以下は、地域おこしを語る際によく言われる言葉であり、条件に恵まれて成功したケースもある。しかし、実情を把握せずに成功事例を表面上真似ただけで、固定観念にとらわれて地域おこしを行うと、政策を誤りかえって地域が衰退する場合もある。その固定観念が間違っていることをはっきり示すために「×」(バツ印)をつける。 「県庁所在地や政令指定都市に名店が集中すれば、他の市町村もそれに刺激され、活性化する。」× 「リゾート地に観光客を呼び込めば地域が活性化する。」× 「観光客が泊まれるホテルを増やす。」× 「道路や鉄道、空港ができて交通が便利になれば、地域は豊かになる」×(ストロー効果)。 「パチンコ店やゲームセンターなどの娯楽施設を作れば若者が集まる」×(反面、治安が悪化し、それを嫌悪する人々が逃げ出し、人口流出が加速する場合も。治安面に配慮し出店に否定的な自治体も少なくない)。 「工場を誘致すれば、人(作業員)が集まり、商店街も活性化する。」×(昼食などは工場内の食堂で済ませたり弁当で済ませ、また、品ぞろえが悪い地元商店街では買い物もしないので、結局、地元商店街にはほとんどお金が落ちない) 「マンションやアパートを増やせば人口が増える。」× 「地域の製造業が活性化すれば、雇用も増える。」× (もともと製造業が強くない地域が他の成功事例をマネしようとして、とってつけたように製造業に力を注いでも、うまくゆかない場合のほうが多い。また、日本の製造業・輸出産業 全体が沈みこんでいる時に、その分野に向かってもあまり効果が出ない、という面もある。また、自然が魅力の地域が、うっかり製造業の工場を誘致して自然破壊を行ったり公害を引き起こしてしまったりすると、観光的魅力は激減し、もともとあった観光産業の雇用が減ってしまい、総雇用数はむしろ減ってしまうことも起きうる。高度成長期の固定観念は捨てて、各地域の本当の強みを見出して、選択肢ごとの効果を、(行政にありがちな誇大な効果見積もりをするのではなく)冷静に試算する必要がある)
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