命令・禁止
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 05:10 UTC 版)
京都と同様、「せよ/せー」「読め」のような命令形とともに、「しー(な/や)」「読みー(な/や)」のような「連用+長音」の柔らかな命令表現を多用する(「連用+なさい」の転)。「読み(な/や)」のような短音形も用いる。「見ー」「起きー」など命令形と連用命令が同形になることがあるが、アクセントによって区別し、例えば「見ー」の場合、「みー」と発音した場合は命令形命令、「みー」と発音した場合は連用形命令となる。 中年層以上が用いる親しみを込めた命令表現として、湖南・湖東では「五段未然+い/その他未然+やい」、湖北では「命令形+いや」がある。前者は親愛語「-やる」の命令形から転じたものとされる(読みやれ→読みやい→読まい)。 (例)これ読まい。 ゆっくりしやいな。 これ読まさいね(=読ませなさいね)。 阿呆なことせんとかい(=しないでおきなさい)。 これ読めいや。 ゆっくりせよいや。 禁止形には、サ変に古形「すな」が残るほか、五段以外では「見な(いや)」「寝な(いや)」「こな(いや)」「せな(いや)」のような「未然+な(いや)」とすることがある。また京都と同様、「連用+なさるな」から転じた「しない(な)」「読みない(な)」「しゃべってな」のような柔らかな「連用+ない(な)」「-て+ない(な)」もある。
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命令・禁止
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 21:53 UTC 版)
近畿方言では複数の命令・禁止表現が発達し、強い表現と穏やかな表現を場面に応じて使い分ける。 命令表現 命令形表現五段・カ変動詞の命令形は共通語と変わりないが、サ変・一段動詞の命令形には文語命令形「・・・よ」の転「・・・い」を用い(例:見よ→見い)、そのうちサ変と下一段の場合は前のエ音に引かれて「・・・え」と発音することが多い(例:せよ→せい・せえ、食べよ→食べえ)。女性は通常命令形表現ではなく後述の連用形表現を用いることが多く、前田勇は「若しも大阪女にして『上れ』だの『飲め』『待て』だの云つたとするならば、それは男か鬼のやうな女であらう。」とまで述べている。「しろ」「食べろ」など「ろ」で終わる命令形は、共通語として以外には、近畿方言では本来用いない。命令形(「・・・ろ」を含む)の後ろに付ける終助詞は共通語と同様「よ」と「や」が一般的。 連用形表現 (例)行き穏やかな命令表現。「連用形+なされ」の後略。後ろには「な」「や」を付けることが多いが、若年層を中心に「よ」を付けることもある。1音節語ではほぼ必ず、1音節語以外でも穏やかに念を押す場合に、長音化(ただし下一段は「え」ではなく「い」とも言う)が起こる(例:しい、きい、行きい、食べえ、食べい)。一段動詞では連用形表現と命令形表現は同形になるが、アクセントによる区別があり、例えば「見てみい」「食べえ」は「見てみい」「食べえ」だと命令形表現、「見てみい」「食べえ」だと連用形表現を表す。また一段動詞では「い」をより伸ばして念を強めることがある(例:食べいいな、食べいいや)。京都などでは「お行き」「お見」のように「お」を付けて丁寧語化させたり、「よし」を付けて女性的な命令表現とすることがある(例:行きよし、食べよし)。 否定の助動詞+疑問の終助詞「行かんか」のような否定の助動詞と疑問の終助詞による表現も多用する。「かい」を用いるものはとりわけ強い命令を表す(例:行かんかい!)。動詞未然形に付くものだけでなく、幾分穏やかな命令として「連用形+ん+疑問」(例:行きんかいな)や「て(お)くれんか」の略「てんか」(例:行ってんか)もある。 「て」を用いた表現「て」も共通語と同様に多用する。後ろには「な」「や」を付けることが多い(例:行ってな・行ってや)。「てえ」と伸ばすとやや甘えた表現になる(例:行ってえなあ、行ってえやあ)。 禁止表現 終止形表現共通語と変わらず「終止形+な」で禁止を表すが、サ変の場合「するな・すんな」に加えて「すな」の形も用いる。また「な」を強める場合「なよ」に加えて「なや」とする(例:行くなや)。 連用形表現 連用形+「な」 (例)行きな穏やかな禁止表現。「連用形+なさるな」の後略。「な」前は長音化することがある(例:しいなや)。「な」のほかに「なや」「ないな」なども用いる(例:行きなや、行きないな)。命令表現と同形になることがあるが、アクセントによる区別があり、例えば「行きな」は「行きな」だと命令、「行きな」だと禁止を表す。 「て」を用いた表現 (例)行ってな命令表現だけでなく禁止表現でも「て」を用いた表現がある。用法は連用形禁止表現に類し、「てな」「てなや」「てないな」などの形で用いる。命令表現と同形になることがあるが、アクセントによる区別があり、例えば「行ってな」は「行ってな」だと命令、「行ってな」だと禁止を表す。
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