吹奏楽のための交響曲 (ヒンデミット)とは? わかりやすく解説

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吹奏楽のための交響曲 (ヒンデミット)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/26 10:05 UTC 版)

音楽・音声外部リンク
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ヒンデミット/吹奏楽のための交響曲 - 岡田渉指揮ヒネモス・ウインド・オーケストラによる演奏。ヒネモス・ウインド・オーケストラ公式YouTube。

吹奏楽のための交響曲変ロ調Symphony in B♭ for Concert Band )は、パウル・ヒンデミット1950年から1951年にかけて作曲した吹奏楽のための交響曲吹奏楽のために作曲された古今の交響曲のうちでも、とりわけ重要な作品に位置づけられ、またこのジャンルにおける傑作の一つとされる。

当時ヒンデミットはアメリカへ亡命中で、ワシントンD.C.アメリカ陸軍軍楽隊から指揮者として客演の依頼を受けた際に「ちょっとしたもの」(a little something) を書くことが話題になり、結果的にこの交響曲が書かれた[1]。軍楽隊隊長のヒュー・カーリー中佐(Lit. Col. Hugh Curry)は、ヒンデミットは以前から吹奏楽曲の構想を持っていて、客演の申し出がいいきっかけになったと証言している[2]。初演は1951年4月5日、この軍楽隊をヒンデミット自身が指揮してワシントンD.C.にて行われ、楽譜は翌1952年ショット社から出版された。

ヒンデミット自身の指揮ではまた、フィルハーモニア管弦楽団1956年)、バイエルン放送交響楽団1959年)との録音が残されている。

楽器編成

1926年ドナウエッシンゲン音楽祭のために作曲した『吹奏楽のための協奏音楽』作品41が金管楽器を充実させた、いわゆるドイツ式の編成を想起させるのに対し、この曲ではアメリカの軍楽隊の委嘱で書かれたこともあって、アメリカ式のコンサート・バンド編成が採られている(題名も正確に訳すと『コンサート・バンドのための交響曲変ロ調』である)。

楽曲構成

3つの楽章からなる。演奏時間は約19分。古典的な形式を意識したことが強く窺えるほか、ヒンデミットが得意とした対位法の技術が全編に活用されている。

音楽・音声外部リンク
楽章毎に試聴する
第1楽章 Moderately Fast, With Vigor
第2楽章 Andantino Grazioso - Fast and Gay
第3楽章 Fugue
Timothy W. Foley指揮アメリカ海兵隊軍楽隊による演奏。アメリカ海兵隊軍楽隊United States Marine Band)公式YouTube。
第1楽章 Moderately Fast, With Vigor
変ロ調、3/2拍子。ソナタ形式。序奏はなく、広い音域を持つ第1主題がトランペットとコルネットによって力強く奏し出される。第2主題はオーボエによってやや抒情的に、第3主題は木管楽器の裸のユニゾンで提示される。
ゲネラルパウゼを挟んで、展開部はサクソフォーンに始まるフーガで構成される。それが頂点に達するとクラリネットのパッセージが残り、第1主題と第2主題が木管楽器の高音と低音を用いて同時に再現される。第3主題が続いて再現され、コーダとなり終わる。
第2楽章 Andantino Grazioso - Fast and Gay
ト調、2/2拍子。三部形式。緩徐楽章とスケルツォが組み合わされた楽章。主部は落ち着いた伴奏に乗って、コルネットとアルトサクソフォーンによるカノン風の二重奏が続く。中間部は12/8拍子となり、木管楽器を中心に各楽器が快活に動き回る。主部が再現される際には中間部の楽想が同時に奏され、この2つの要素が拮抗したままコーダに到る。
第3楽章 Fugue
変ロ調、2/2拍子。精巧な二重フーガ。冒頭に奏される快活な主題と、後に現れる三連符が特徴的な息の長い主題をそれぞれフーガで扱っていく。2つの主題が同時進行する二重フーガとなると、それに乗って第1楽章の第1主題が回帰し、全曲を統一する。最後はF-D-E♭-C#の動機を強調しながら叩きつけるように終わる。

脚注

参考文献

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