名称をめぐる意見
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/01 14:18 UTC 版)
体位は時代や文化によっても変化することがありうる。正常位、後背位あるいは騎乗位のどれが「正しい」とも言い切れないであろう。 「動物の場合、ほとんどが後背位であるのに比べて、互いが向き合って眼を合わせて愛を確認する人間特有の体位といえるのではないか」という説に対して、「爬虫類の蛇や哺乳類の鯨類・海獣類は体の構造上後背位はとれず、人類と同様にお互いが向かい合って性交をする。このような俗説は人類至上主義に基づく偏見である」という反論がある(人間は体の構造上、正常位・後背位など複数の体位が可能であるが、その中から正常位が多く選択されている点は動物と異なるであろう)。 「後背位は動物のようで嫌だという感想を持つ女性がいる」ことも事実であるし、逆に「後背位の方がいいという感想を持つ女性もいる」こともまた事実である。 英語では「宣教師ポジション(スタイル):missionary position」という言葉で呼ばれる。この語源については、キリスト教の布教の際に宣教師が推奨した体位と説明されることが従来多かったが、現在ではアルフレッド・キンゼイの勘違いによって生み出された言葉だと考えられている。この語の初出は1948年のキンゼイ報告であり、それ以前の英語圏での正常位の呼び方は "the matrimonial", "the Mama-Papa position", "the English-American position", "the male superior position" などであった。キンゼイ報告の中でキンゼイは、ブロニスワフ・マリノフスキが1929年に「トロブリアンド諸島の現地住民が English-American position のことを missionary position と揶揄して呼んでいる」と記録している、と述べてこの語を紹介した。しかし実際のマリノフスキの記録では、婚約した現地住民の男女が手をつないでいる様子が misinari si bubunela (現地語で「宣教師流スタイル」の意味)と呼ばれている、と記録されているに過ぎず、この部分をキンゼイが誤解して上記の記述になったものと考えられている。キンゼイ報告は発表直後大きな反響を持って迎えられたが、その中にこの誤った記述があったことから、この語が広く使われるようになった。
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