名無しの怪物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 06:53 UTC 版)
「フランケンシュタインの怪物」の記事における「名無しの怪物」の解説
シェリーは小説の中で怪物の名前を設定しておらず、怪物はヴィクターとの会話の中で自らを「あなたの労働者アダム」と呼んでいる。これに対して、ヴィクターは怪物を「クリーチャー」「悪霊」「幽霊」「悪魔」「惨めな者」「物」「存在」「オーガ」などと呼んでいる。一般的な通称である「フランケンシュタイン」「怪物」といった呼び方は、小説の中では登場しない。 『フランケンシュタイン』は、初版発行から数十年の間にロンドンやパリなどの舞台で演劇の題材になっていった。1823年には小説の初舞台作品をシェリー自身が観賞しており、「演者リストにある『 ________:トーマス・クーク(英語版)』の表記は、私をとても興奮させてくれました」「名前のない名前という表記方法は、とても良いものです」と友人のライト・ハント(英語版)に宛てた手紙に感想を記している。 小説の出版から10年以内の間に、怪物をヴィクターの名前を借りて「フランケンシュタイン」と表現することはしばしば見られたが、定着するほどの頻度ではなかった。小説は1927年にペギー・ウェブリング(英語版)によって舞台化され、この舞台ではヴィクターが怪物に名前を与えている。しかし、ウェブリングの舞台を踏襲したユニバーサル映画の作品では、ボリス・カーロフ演じる怪物は再び「名無しの怪物」に戻った。1931年公開の『フランケンシュタイン』では小説同様に怪物を扱い、オープニング・クレジットでは「The Monster」と表記している(演者カーロフの名前も伏せられ、エンド・クレジットで表記されている)。しかし、ユニバーサル映画の公開以降、怪物は「フランケンシュタイン」と呼ばれることが一般化していった。この呼び方について誤りだという指摘があるが、「フランケンシュタインという呼び方は既に確立されたものであり、誤用ではない」という反論もある。
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