合わせ鏡
*関連項目→〔鏡〕
『戦争と平和』(トルストイ)第2部第4篇 鏡を2つ向かい合わせに立て、蝋燭をつけて、ナターシャとソーニャが鏡の奥に見入る。そうすれば未来の夫の姿が映る、との言い伝えがあるからである。しかし何も映らなかった。
*将来の夫の姿が、水に映る→〔水鏡〕3bの未来の夫(日本の現代伝説『走るお婆さん』)。
*未来の妻の姿が、水に映る→〔水鏡〕3cの『雀の媒酌』(川端康成)。
*前世から定まった縁の夫が、鏡に映る→〔鏡〕3の『草迷宮』(泉鏡花)。
★2.十の鏡で合わせ鏡をする。
『佛教の大意』(鈴木大拙) 華厳的宇宙観を理解する助けとして、10面の鏡を、東西南北の八方と上下とに据えつける喩えが、よく用いられる。球状を成す10面の鏡の中心点に、1灯の光を置くと、光は10の鏡面に1つ1つ映る。その中の1鏡を取り上げて見れば、その面には残りの9鏡の1つ1つが、中央の光を自らに映したままにして映っているのみならず、9鏡の9面には、今取り上げて見ている1鏡が、そこに映る光とともに、それぞれ映っている。すなわち、9鏡の1つ1つが1鏡に映っており、その1鏡(9鏡が映っている1鏡)が、また9鏡の1つ1つに映っている。全体が一団となって、互いに映り合っているのである。
『鏡地獄』(江戸川乱歩) レンズや鏡に異常な嗜好を持つ「彼」は、技師に命じて、直径4尺ほどの、中空のガラス玉を造らせる。玉の外側に水銀を塗れば、その内側は一面の鏡になる。内部に数ヵ所、強い光を放つ小電燈を取り付けて、「彼」は中に入る。自分を包み込んだ鏡面に何が映し出されるか、見ようとしたのだ。その結果、「彼」は発狂した。おそらくそこに、想像を絶する恐怖と戦慄の人外境が現出したのであろう。神の怒りにふれたのか、悪魔の誘いに敗れたのか、「彼」は「彼」自身を滅ぼさねばならなかった。
『鏡』(星新一『ボッコちゃん』) 13日の金曜日、真夜中の12時に男が合わせ鏡をする。互いに映し合う鏡の奥から、小さな悪魔が鏡を1つずつ乗り越えてこちらへ歩いて来る。悪魔が一方の鏡から向かいの鏡へ飛び込もうとする瞬間、男は悪魔をつかまえる→〔悪魔〕4。
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