台車およびシリンダー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/21 05:55 UTC 版)
「サザン鉄道リーダー級蒸気機関車」の記事における「台車およびシリンダー」の解説
各台車は三気筒で、その駆動軸はオイルパンつきの密閉箱内のチェーンで連動しており、弁装置はブレイドのパシフィック形蒸気機関車で用いられたブレイド式チェーン駆動弁装置に基づくものであった。バルブには、珍しいことにスリーブバルブが、元LBSCRのアトランティック車軸配置の蒸気機関車「ハートランド・ポイント」 (Hartland Point) でリーダー級製造中に試験の上用いられた。リーダー級はセシル・ウォルター・パジェ(Cecil Walter Paget)の1908年の蒸気機関車以降、設計時点からスリーブバルブを採用した最初の蒸気機関車であったが、製造と並行して「ハートランド・ポイント」を用いた試験を行なっていることは、リーダー級の概念設計が如何に急拵えであったかを示唆している。 スリーブバルブと油槽による可動部分の潤滑は、内燃機関での成功をヒントとしたものである。スリーブバルブを軸のまわりに25度回転させる往復装置を追加して駆動部分の潤滑を均等に行ない、それによりスリーブバルブの「ひきつけ」を避けるという決定も自動車での経験に基づくものである。しかし、この機構は複雑過ぎて保守が難しく、なくなった筈の「ひきつけ」を起こす結果となった。この機構は試験が進んだ段階で取り除かれた。台車設計でブレイドが固執したもう一つの新機軸は前後に全く同じ設計の台車を用いることで、それによりオーバーホール時に新しい台車と交換できるようにしたことである。 三気筒は一体鋳造され、各気筒は二つの円環状給気蒸気室と一つの大きな排気蒸気室に囲まれていた。この蒸気室により各気筒は高温蒸気で温められ、その結果、供給される蒸気の温度ひいては圧力が保たれる様設計されていた。しかし、実際に鋳造してみると正確な機械加工が難しいことがわかった。給排気ポートのシーリングリングは、各気筒とスリーブバルブに 24 箇所ずつ、合計で144箇所にも及び、実に複雑であった。
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