古代天皇実在説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/01 21:21 UTC 版)
いわゆる欠史八代については実在説をとる。井上光貞をはじめとする非実在説派はその根拠として次のような点をあげている。 記紀には系譜の記述、すなわち帝紀的部分のみがあって、事跡の記述、すなわち旧辞的部分がない。 名前が後世的であり、後から作られた可能性が高い。 全て父子継承で不自然である。 これに対しては安本は以下のように非実在説を否定する。 欠史八代以外でも記紀に帝紀的部分のみがあって旧辞的部分がない天皇は多く、それだけをもって非実在の根拠とはならない。むしろ植村清二が指摘するように記紀の原型は帝紀でありそれに旧辞が加わってできたものと考えられる。 名前が後世的というのはなはだ主観的で古代的といえば古代的といえる名前である。古代の天皇の名前が7世紀 - 8世紀の天皇の名前と似ていると主張されているが、7世紀 - 8世紀の天皇の名前の方が古代の天皇の名前にちなんでつけられたと考えることもできる。 全て父子継承であるのは確かに不自然であり、実際は兄弟あるいは甥などが継承したにもかかわらず確かな情報として伝わらなかったため父子として記述されたと考えられる。そもそも、父子継承が信じられるかどうかということと天皇が実在かどうかということは別問題である。 非実在派の中において、どの天皇が実在しどの天皇が架空であるかに意見の相違がある。研究者の恣意(どれを証拠として信用するか)で天皇の実在・非実在を客観的な基準によらず勝手に決めているとしか考えられない。
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