収集品としてのタカラガイ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/23 16:34 UTC 版)
「タカラガイ」の記事における「収集品としてのタカラガイ」の解説
タカラガイの貝殻は、その美しさからコレクションの対象としても人気がある。産地の発見や流通の多様化により以前より落ち着きはしたものの、希少なタカラガイの状態の良い標本は現在でも高値が付く。シンセイダカラやサラサダカラ、リュウグウダカラなどのように、かつては数十万円の値段で取引されたものもあり、ナンヨウダカラやクロユリダカラなども古くから高価なものとして有名であったが、その後産地が見つかるなどして多く採取されるようになって昔日ほどの価格ではなくなった。他にテラマチダカラ、オトメダカラ、ニッポンダカラは「日本三名宝」と呼ばれたこともあり珍重される。 一般に状態の良い貝殻の標本を得るためには、生体を採集して軟体部の除去(肉抜き)を行わなければならないが、開口部の狭いタカラガイでは困難な作業である。またタカラガイ特有の光沢を失わないためにも、強度の煮沸や薬品処理を避けなければならない。従って、タカラガイを冷凍・解凍して軟体部をさらに軟化させたり、あるいは高温多湿の環境において軟体部を腐敗させ、除去するという方法が採られる。後者の場合には作業に非常な悪臭が伴うため、作業自体や廃液・廃棄物の始末には注意を要する。 他の貝と同様、タカラガイの貝殻も生体の死後は経年とともに劣化する。紫外線の曝露によって褪色するほか、暗所に保管していても貝殻の脱水によって色調が変化する。逆に保管場所の通気性が悪かったり、標本の肉抜きが不完全であったりした場合にはカビが生える場合もある。管理された標本箱に保管してある場合でも、他の標本の維持に用いるホルマリンや酢酸によって貝殻の炭酸カルシウムが侵されて変質劣化する、いわゆる「バインズ病」もコレクターの間ではよく知られている。
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