反射のメカニズム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 07:50 UTC 版)
腱反射は、急な外力によって筋が損傷するのを防ぐための生理的な防御反応である。弛緩した筋は損傷し易いため、外力のかかった際にすばやく筋を緊張させている。反射は感覚器-求心路-中枢-遠心路-効果器とモデル化することができるが、腱反射のメカニズムをこのモデルに当てはめると、 感覚器に相当するのは骨格筋に含まれる筋紡錘である。筋の長さの変化のセンサーであり、その感度はγ(ガンマ)運動線維と呼ばれる神経によってコントロールされている。 求心路として働くのは主にIa線維と呼ばれる神経である。これは太く、すなわち伝達速度の速い神経である。外力からの防御を素早く行うのに適している。 中枢は脊髄にある。ここでIa線維は前核細胞二次ニューロンとシナプスを形成する。 運動系の二次ニューロンが遠心路となる。二次ニューロンは正常であれば上位中枢(一次ニューロンなど)から抑制を受けており、Ia線維からの刺激に過剰に反応はしないようになっている。 効果器は、刺激された筋と同一方向に働くすべての筋(協同筋)となる。 筋収縮中には上位中枢からの入力によりγ神経細胞の興奮も、錘外筋を支配するα神経細胞と同様に高まり筋紡錘の感度(Ⅰa線維の感度)も増加する。そのため、筋収縮中は筋紡錘からのIa出力も増加し単シナプス性にα神経細胞への興奮性入力が増加する。これをα-γ連関( coactivation)といい、筋収縮の円滑な維持に役立っていると考えられている。 深部腱反射はシナプス接続の一回しかない単シナプス反射なので解析がしやすく、反射の代表として取り上げられることが多い。
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