双有理不変量
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/29 05:46 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動代数幾何学において、双有理不変量(birational invariant)は、双有理同値写像で保存される性質である。
定義
双有理不変量は、代数多様体の双有理同値類上の well-defined な量や対象である。言い換えると、双有理不変量は、代数多様体の函数体のみに依存する。
例
最初の例は、ベルンハルト・リーマン (Bernhald Riemann) 自身の基礎的な仕事により与えられる。彼は論文で、各々の代数曲線に対してリーマン面を定義できることを示した。すべてのリーマン面は、代数曲線から生じ、双有理同値の違いを除いて well-defined で、2つの双有理同値な曲線は同じ曲面を与える。従って、リーマン面、あるいはより単純に、リーマン面の種数は、双有理不変量である。
より複雑な例は、ホッジ理論により与えられる。代数曲面の場合には、非特異射影複素曲面のホッジ数 h0,1 や h0,2 は双有理不変量である。ホッジ数 h1,1 は双有理不変量ではない、なぜならば、曲面上の曲線への点のブローアップによって増えることがあるからである。
参考文献
- Reichstein, Z.; Youssin, B. (2002), “A birational invariant for algebraic group actions”, Pacific Journal of Mathematics 204 (1): 223–246, doi:10.2140/pjm.2002.204.223, MR 1905199.
双有理不変量
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 09:06 UTC 版)
詳細は「小平次元」を参照 「双有理不変量」も参照 まず、どのようにして有理的でない代数多様体が存在するかを示す方法が明らかではない。これを証明するためには、代数多様体の何らかの双有理不変量を作ることが必要である。 双有理不変量の有益な双有理不変量の一つは多重種数である。次元 n の滑らかな代数多様体 X の標準バンドルは、n-形式のラインバンドルを意味する。 K X = Ω X n , {\displaystyle \,\!K_{X}=\Omega _{X}^{n},} これは、X の余接バンドルの n 番目の外積である。整数 d に対し、KX の d 番目のテンソル積は、再びラインバンドルとなる。d ≥ 0 に対し、大域的切断のベクトル空間 H0(X,KXd) は、滑らかな射影多様体の間の双有理写像 f: X – → Y は同型 H0(X,KXd) ≅ H0(Y,KYd) を導くという注目すべき性質を持っている。 d ≥ 0 に対し、d 番目の多重種数 Pd をベクトル空間 H0(X,KXd) の次元として定義すると、多重種数は滑らかな射影多様体に対する双有理不変量である。特に、d > 0 について多重種数 Pd がゼロでないならば、X は有理的ではない。 基本的な双有理不変量が小平次元で、d が無限大となるときの多重種数 Pd の増加する大きさを測る量である。小平次元は、次元 n のすべての多様体を、小平次元 -∞, 0, 1, ..., n として n+1 個のタイプに分類する。このタイプは多様体の複雑さを測るものであり、射影空間は小平次元 -∞ をとなる。もっと複雑な多様体は小平次元が、普通の次元 n に等しいときであり、一般型の多様体と呼ばれる。 さらに一般的に、r ≥ 0 に対しての余接バンドル Ω1 の r 番目のテンソル積の自然な和 E(Ω1) について、大域的切断のベクトル空間 H0(X,E(Ω1)) は滑らかな射影多様体の双有理不変量である。 特に、ホッジ数 hr0 = dim H0(X,Ωr) は X の双有理不変量である。(ほとんどのほかのホッジ数 hpq は、以下でみるように、双有理不変量ではない。) 基本群 π1(X) は滑らかな複素射影多様体の双有理不変量である。 2002年にAbramovich, Karu, Matsuki, と Włodarczyk (2002) により証明された「弱分解定理」は、2つの滑らかな複素射影多様体の間の任意の双有理写像は、滑らかな多様体への有限個のブローアップとブローダウンに分解することができる。しかし、これが2つの滑らかな射影多様体が双有理であるかどうかを判定することは極めて難しいことを知っておくことが大切である。
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