原因と理論的導出
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 09:31 UTC 版)
分子と分子の間には、分子間力と呼ばれる引力が作用している。液体中の分子は、あらゆる方向から他の分子からの分子間力の作用を受けて自由エネルギーが低い状態にある。一方、表面上にある分子は内部の分子からは作用を受けるが、気体の分子からはほとんど作用を受けない。すなわち、表面上にある分子は内部の分子と比べて大きな自由エネルギーを持つことになり、より不安定な状態にあると言える。その結果、表面をできるだけ小さくしようとする傾向が現れる。表面張力は、その界面が不安定であればあるほど大きくなるため、界面活性剤などの影響により変化する。 表面張力を理論的に求めようとする各種の式がある。 トマス・ヤングによれば表面張力はファンデルワールスの状態方程式における内部圧と関係があるとされる。 S. SugdenはパラコールPという因子を導入し、次式で表面張力を計算できるとした: γ 1 4 M D − d = P {\displaystyle \gamma ^{\frac {1}{4}}{\frac {M}{D-d}}=P} ここでDは液体密度、dは気体密度、Mは分子量である。ただしOH基をもち会合する物質は適用外である。 野瀬は分配関数Zと表面張力の関係を求めた。ここでkTはボルツマン定数と温度の積、Aは表面積。 γ = − k T ( ∂ ln Z ∂ A ) T , V e q . {\displaystyle \gamma =-kT\left({\frac {\partial \ln Z}{\partial A}}\right)_{T,V\,eq.}} 井本は1モル当たりの蒸発熱Qvから表面張力を計算できるとした。 γ = 0.25 α ϵ n s {\displaystyle \gamma =0.25\alpha \epsilon n_{s}} ここでε = Qv/NA、NAはアボガドロ定数、nsは単位面積の表面に存在する分子数、αは化合物により0.25-0.6の値をとる補正係数(たとえば水などOH基を持つ物質ではα = 0.4)。
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