単為生殖を含む生活環
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 18:28 UTC 版)
ミジンコでは、好適条件では雌が単為生殖により雌のみをどんどん生む。これによって個体数は非常に素早く増えることができる。個体群密度が上昇すると、雄が生まれ、雌雄の交接から受精を経て卵が作られる。この卵は厚い殻を持ち、休眠にはいる。この卵は乾燥に耐え、新たに条件が良くなったときに孵化してくるので、耐久卵と呼ばれる。 このように、条件の良い間は単為生殖を、いわば無性生殖の方法として用い、素早く数を増やし、条件が悪化すると真の有性生殖を行って休眠に入るというやり方は、他にもアブラムシやカイガラムシなどにも見られる。 単為生殖では雄のみを生産する例も存在する。 ハチ類: 女王による雌雄の産み分け(※受精卵は雌に、未受精卵は雄になる)方法として使用される。 ナミハダニ・ネギアザミウマ・ミカンキイロアザミウマなど: 性のコスト(有性生殖のコスト)を必要最低限にするためではないかとされている。つまり、繁殖には直接関与しない雄をなるべく減らしたいが、個体群の遺伝変異幅を保つ上で有性生殖は保ちたい。この時、必要最低限以上の雄が居る限り、雌が生産されるが、雄が足らず、未受精が生産されれば雄が生産される。典型的なr戦略者であるハダニやアザミウマはこのことによって有性生殖により環境変化への適応性を保った上で、増殖率を稼いでいるのではないかというわけである。事実、園芸上最も難防除とされる(つまり人間による頻繁な農薬開発と農薬種類変更に対応できる)強害害虫はほぼすべて産雄型単為生殖を行う。 寄生虫の吸虫など、中間宿主をもつものでは、幼生が無性的に数を増やす例が多い。これは、宿主から宿主への乗り代わりが必ずしも確率が高くないことへの適応とみられる。そのようなものでは、幼生が分裂などの方法で増えるものもあるが、幼生の体内に、多数の幼生が生じて数を増やす仕組みがあるものがある。この時、幼生の体内では、体が幼生のままで生殖細胞が発達して、それが単為発生的に幼生になることが知られている。このような例は多胚形成といわれる。
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