半グレ
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半グレ(はんグレ[1])とは、日本において暴力団に所属せずに犯罪を行う集団[2][3][4]。半グレ集団ともいう[5]。暴力団に詳しいジャーナリストの溝口敦の命名とされる[2][6]が、「半グレ」という言葉自体は溝口以前から存在する[注 1]。2020年11月時点での半グレの人数とグループ数は、警察が把握しただけで約4,000人(約60グループ)もいると推定されており、2019年末時点の六代目山口組の構成員数に匹敵する[21]。
注釈
- ^ a b 「半グレ」という語の溝口敦以前の用例は、演歌師の宮島郁芳(宮島敬二)が1930年に雑誌で発表した文章[7]、三木蒐一が1953年に雑誌発表した短編小説[8]、楠田匡介の1960年の推理小説[9]、雄琴のソープランド街に関する広岡敬一の1980年の書籍[10]、阿佐田哲也(色川武大)が1983年に発表した短編小説[11]、暴力団の人材育成に関する北川紘洋の1985年の書籍[12]、安部譲二が1980年代から90年代にかけて発表した複数の雑誌寄稿[13][14][15]や書籍[16][17][18]、山之内幸夫の1988年のルポルタージュ『悲しきヒットマン』[19]、2005年出版の『業界裏用語辞典』[20]など。
出典
- ^ 『What’s with the police purge on dance clubs?』 ジェイク・エーデルスタイン 2013年4月7日 ジャパンタイムズ (英語) ― “The investigative journalist Atsushi Mizoguchi coined a term for these outlaws: hangure.” ― “ハングレ” (hangure)
- ^ a b 米川明彦「半グレ」『平成の新語・流行語辞典』東京堂出版、2019年、484-485頁。ISBN 978-4-490-10910-8。
- ^ 山根智恵(監修)、佐藤友子・奥村圭子(編)『研究社日本語口語表現辞典』(第2版)研究社、2020年、1209頁。ISBN 978-4-7674-5022-3。
- ^ “"半グレ"って知っていますか?”. クローズアップ現代 スタッフの部屋. NHK. 2015年9月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月18日閲覧。
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- ^ 宮島敬二(宮島郁芳)「演歌師の日記」『文學時代』第2巻第11号、新潮社、1930年、159-165頁。(オンライン版、国会図書館デジタルコレクション、館内限定公開)。160頁「もう一つまちがひの
種 は、俺達 の仲間 にころげ込 んで來 て一人前 のレベルに出 られずに暫 くまごついてゐながら符牒 と神農道 を生 つカジリした人々 の話 である。そんなのを半グレ と云ふ。生物識 り、生半可 ……いやなものサ。」(振り仮名と傍点強調は原文通り。太字強調とアンダーラインは引用者による。) - ^ 三木蒐一「娘心日本晴れ」『読切倶楽部』第2巻第1号、三世社、1953年、240-254頁。(オンライン版、国立国会図書館デジタルコレクション、デジタル化資料送信サービス限定公開)249頁「――あゝ、そんなチンピラがいましたつけ。
復員 ぐれ の、二三日 まえ店 へやつてきましたよ。 (中略)若 い時 にあり勝 ちな氣 のいゝ半 ぐれでさあ」(振り仮名と傍点強調は原文通り。太字強調とアンダーラインは引用者による。) - ^ 楠田匡介『死の家の記録』光風社、1960年、130頁。(オンライン版、国立国会図書館デジタルコレクション、デジタル化資料送信サービス限定公開)130頁「漁師の息子で、酒と
競輪 の好きな半ぐれの青年であつた。」(振り仮名は原文通り。太字強調とアンダーラインは引用者による。) - ^ 広岡敬一『ちろりん村顛末記』朝日新聞社、1980年、186-187頁。 NCID BN13791968。(文庫版:筑摩書房、2016年、243頁、ISBN 978-4480433534)。186-187頁(文庫版243頁)「しかし、暴力団の構成員はボーイのなかには、ほとんど見かけられないという。 (中略) 月給はせいぜい十五万円、苦労にくらべて割りが合わないからだ。もしいたとしても、半グレの予備軍にすぎないだろう。」(太字強調とアンダーラインは引用者による。)
- ^ 阿佐田哲也「前科十六犯」『黄金の腕』角川書店〈カドカワノベルズ〉、1984年、172, 176頁。ISBN 4-04-777401-4。(文庫版:「前科十六犯」『黄金の腕』角川書店〈角川文庫 7184〉、1988年、154, 158頁。ISBN 4-04-145966-4。、初出:色川武大名義「前科十六犯」、『小説宝石』16巻9号、光文社、1983年9月。)172頁(文庫版154頁)「私も当時半グレで街をのたくっており、七ちゃんとは居酒屋や麻雀屋でよく一緒になったが」176頁(文庫版158頁)「私は当時二十才を少し越したあたりで、生家にほとんど帰らず、やっぱり半グレで、七ちゃんと似たようなことをやっていたのだけれど、彼よりはまだもう少し足腰が立つと思っていた。」(太字強調とアンダーラインは引用者による。)
- ^ 北川紘洋『ヤクザは人間をどう育てているのか』はまの出版、1985年、22,237頁。ISBN 4893610139。22頁「もっとも、三十代で入ってきたヤツにやらせる仕事はたくさんある。手形のパクリ屋とか事件屋とか。 (中略) うちの場合は、そういうヤツは準構成員として置いとくがな。一般にいう”半グレ”だ。 (中略) 要するにヤクザが好きだけど、ヤクザになりきれず、かといってカタい会社にも勤められないという。これが結構いるから『仕事若い衆』にしておくんだ。バッジはつけさせないで、組に出入りさせる。 (中略) 肩書はきちんとしてる。社長とか専務とか。しかし、しょせんは我々の庇護を必要とする”半グレ”。仕事師とか事件師だね。」237頁「半グレなんだろうな。刺青した土工くずれみたいなのが、現場監督に言いがかりをつけるわけだ。 (中略) 商店なんかのイヤがらせはひどいよ。 (中略) 一度行ってみたことがあるがひどいもんだ。/そういう時は、お願いがくるよ/行くと、半グレだってわかるわけだ、こっちが何者か。」(太字強調とアンダーラインは引用者による。)
- ^ 家田荘子・安部譲二「特別対談 われら極道ブームの火付け役」『文藝春秋』65巻2号(1987年2月号)、1987年、316-326頁。323頁「家田 一番辛かったのは、極道に会うまでです。極道の取材を極道でもないようなカタギの人に頼むんですが……。/安部 その根回しのあいだに、やれ金持ってこいだなんだって、いわれるわけでしょう。/家田 ええ、そうです。 (中略) 家田 そういう人はいまになっても言ってきます。カタギの人なんですがチンピラじゃなくて、何ていうんですか……。/安部 ハングレ。/家田 結局極道を紹介してくれなかったくせに、私に印税が入ったことを知ってて、」(太字強調とアンダーラインは引用者による。)
- ^ 安部譲二「ロス疑惑おれが裁く 安部譲二」『週刊朝日』1988年11月4日号、1988年、28-29頁。28頁「三浦和義氏は私の見たところ
ハングレ の典型で、ハングレというのは、商売人 のゴロツキに対して、半分ぐれているという蔑称なのだ。/ハングレの常として、小利口で弁が立つのだが、絵図を画いても手前勝手で、しかも急所で経費を惜しむところがある。 (中略) プロを雇わなかったのは、ハングレの哀しさで、」(振り仮名と傍点強調は原文通り。太字強調とアンダーラインは引用者による。) - ^ 安部譲二「みみずのハナ唄」『週刊文春』1989年11月9日号、1989年、132-133頁。132頁「読売新聞から電話をもらった。/俺を、あの三浦和義が名誉棄損で訴えたと教えてくれる。 (中略) 面倒臭がり屋が多勢いるから、塀の中のハングレがつけのぼせる。 (中略) 俺は自分で法廷に立って、あの男の名誉を棄損しなかったことを主張する。/あのハングレの小チンピラには、棄損される名誉なんて全く無かったのだから、いかな俺でも傷つけようがない。」(太字強調とアンダーラインは引用者による。)
- ^ 安部譲二『懲役絵図師 パイナップル・シューター』光文社、1988年、71, 95頁。ISBN 4-334-92154-X。(文庫版:『長編小説 懲役絵図師』光文社〈光文社文庫〉、1994年、76, 102頁。ISBN 4-334-71814-0。)71頁(文庫版76頁)「ハングレというのは、正式な組員ではなく、半分ぐれているようなゴロツキの蔑称だ。」95頁(文庫版102頁)「ケツモチというのは、トラブルの時とかに出動してくるゴロツキのことで、背の高い新人にそれが居ないとなれば、これはハングレでもない完全な堅気ということなのだ。/ ハングレというのは、組には入っていないけど、堅気を相手ならすぐゴロツキになって見せるという手合のことで、半分ぐれているから、ハングレなのだろう。」(太字強調とアンダーラインは引用者による。)
- ^ 安部譲二「ハングレ」『スゴめ、サラリーマン! ヤクザ業界に学ぼう出世のコツ118』徳間書店、1989年、183-184頁。ISBN 4-19-123953-8。(文庫版:『サラリーマンの屁無頼語講座』徳間書店、1994年、215-217頁。ISBN 4-19-890115-5。)183-184頁(文庫版216頁)「『ハングレ』というのは、よく警察でいう準構成員、あるいはそれにも当てはまらないようなヤクザもどきの連中をいいます。/語源は、『半分グレている』ということからきているようです。一家とか組に属しているヤクザのことを『看板もち』と呼ぶのに対して、恰好よくいえば一匹狼なんていうような、組織にも属さずに暗黒街を、とりわけ柄悪くうごめく手合いの蔑称がこのハングレなのでした。」(太字強調とアンダーラインは引用者による。)
- ^ 安部譲二『欺してごめん 私が舌を巻いた5人の詐欺師たち』クレスト社、1993年、84-85頁。ISBN 4-87712-011-4。84頁「その中に東京で顔見知りのハングレが一人いてヨオーッと言いながら近づいてきた。 」85頁「ハングレというのは、半分グレているゴロツキもどきの怪しげな奴、という意味だ。」(太字強調とアンダーラインは引用者による。)
- ^ 山之内幸夫『悲しきヒットマン』徳間書店、1988年、167頁。ISBN 4-19-133702-5。(文庫版:『悲しきヒットマン』〈徳間文庫〉1989年、152頁。ISBN 4-19-598857-8。文庫新装版:『悲しきヒットマン』〈徳間文庫〉2008年、175頁。ISBN 978-4-19-892858-2。)「ある組の枝の事務所に立ち寄って遊んでいた時、表の道路で、/『コラー、あほんだらー、やくざが何じゃー、ちんぴらがええかっこするなー』と数名の男がちょっかいをかけている。事務所の者が二階の窓から『お前らええかげんにさらさんと、しばき上げるぞー』、と怒鳴り返している。 (中略) 聞き流そうとしたが、永々と罵り合いを続けているので段々腹が立つ。『半グレ(半分グレた輩)におちょくられてこの事務所は黙っとんのか』遂に横から口を切った。」(太字強調とアンダーラインは引用者による。)
- ^ 曼荼羅夢 著「極道」、裏BUBKA編集部 編『業界裏用語辞典』コアマガジン、2005年、261-265頁。ISBN 4-87734-864-6。264頁「ハングレ/『半分ぐれている』から半グレ。中途半端なアウトローを指す蔑称。」(太字強調とアンダーラインは引用者による。)
- ^ 尾島 正洋 (2020年11月15日). “【暴力団幹部が語る】令和の不良の行き着く先「半グレ」を現役ヤクザはどう見ているのか?” (日本語). 文春オンライン: pp. 1 2021年3月28日閲覧。
- ^ 『New breed of ‘criminal elements’ emerging from the shadows』 マーク・シュライバー 2012年12月9日 ジャパンタイムズ (英語)
- ^ 『ハード・ノンフィクションの巨匠、溝口敦著 『溶けていく暴力団』 第三章「飛んでる半グレ集団」全文公開!(1/8)』 溝口敦 2013年11月4日 現代ビジネス
- ^ 『暴力団』 : “暴力団が怖れる集団” (p.172) 溝口敦 2011年 新潮新書 ISBN 978-4-10-610434-3
- ^ 『関東連合が典型の「半グレ集団」ITに疎い暴力団に魅力感じず』 溝口敦 2012年1月17日 NEWSポストセブン
- ^ 『半グレ「強者」また逮捕 ミナミで警察官に公務執行妨害』 2013年1月29日 MSN産経ニュース
- ^ 『半グレは「準暴力団」 警察庁、組織や資金源の実態解明へ』 2013年3月7日 MSN産経ニュース
- ^ “「半分グレてる」どころでない、変容する「半グレ」 従来の視点ではとらえ切れなくなった犯罪者集団 | JBpress(Japan Business Press)”. JBpress(日本ビジネスプレス). 2020年9月2日閲覧。
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- ^ 『暴力団』 : “半グレ集団とは何なのか?” (p.157) 溝口敦 2011年 新潮新書 ISBN 978-4-10-610434-3
- ^ 『暴力団』 : “暴力団との四つのちがい” (p.158-164) 溝口敦 2011年 新潮新書 ISBN 978-4-10-610434-3
- ^ 『暴力団』 : “暴力団が怖れる集団” (p.173) 溝口敦 2011年 新潮新書 ISBN 978-4-10-610434-3
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- ^ “脱法スカウトの闇 現役大学生が女性を食い物にするシステム”. NEWSポストセブン (小学館). (2019年1月26日) 2022年10月16日閲覧。
- ^ 【衝撃事件の核心】もう一つの暴力集団「半グレ」、その危険な「シノギ」
- ^ ヤクザの組長宅を狙う連続強盗が発生…犯人は半グレ? 待っているのは恐怖の報復か(2019/07/05 18:10) - ビジネスジャーナル
- ^ 宮迫ツーショットの金塊強盗犯が明かす「半グレと芸能界」蜜月関係 | FRIDAYデジタル(2019/08/09)
- ^ 厳しい取締りでさらに危ないドラッグが…半グレも逃げ出す危険ドラッグ業界の末期症状
- ^ 聖域 関東連合の金脈とVIPコネクション 柴田大輔
- ^ “【衝撃事件の核心】大阪・ミナミ半グレぼったくりバー”. 産経新聞 (2019年1月3日). 2019年1月3日閲覧。
- ^ 境界が曖昧に…特殊詐欺の半グレ集団を組員にしない抜け穴
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- ^ 『半グレを「準暴力団」と規定 警察庁 東京、大阪で暗躍か』 2013年3月7日 MSN産経ニュース
- ^ 『「準暴力団」とは何だ』 緒方健二 2013年4月9日 WEBRONZA
- ^ 組織犯罪対策部 (2016年2月25日). “平成27年の暴力団情勢” (PDF). 警察庁. 2016年4月3日閲覧。
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- ^ INC, SANKEI DIGITAL (2018年4月14日). “半グレを「準暴力団」認定 複数の不良グループ、大阪で初”. 産経ニュース. 2018年12月12日閲覧。
- ^ “「指示背けば集団リンチ」ミナミの半グレ集団55人摘発”. 朝日新聞デジタル (2018年12月13日). 2019年1月3日閲覧。
- ^ “「反社」実態解明へ特命班 部門横断で情報集約・分析―不透明さ、治安の脅威に・警視庁:時事ドットコム”. 時事ドットコム. 時事通信社 (2022年12月27日). 2023年1月6日閲覧。
- ^ “「半グレ」専門部署、福岡県警が全国初の新設…「あえて組員にならず」暴対法対象外”. 読売新聞オンライン. 読売新聞社 (2022年12月29日). 2022年12月29日閲覧。
- ^ INC (2023年7月3日). “警察庁、組織改革へ 準暴力団「匿名・流動型犯罪グループ」に”. 産経ニュース. 産経新聞社. 2023年12月12日閲覧。
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