升色紙
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/10 08:46 UTC 版)
『升色紙』(ますしきし)は、元は清原深養父の歌集を書写した冊子本であったが、後に分割され、現在は殆ど掛物に改装されている。料紙の升の形からこの名がある。料紙は高野切とほぼ同じ鳥の子の白紙、淡藍紙、染紙、雲紙などを用いているが、すべて雲母が蒔かれていて高雅である。 優雅婉麗な書風で平安朝の名にふさわしい趣がある。文字は宛転して滞るところがなく、古筆の中で最も細く品のよい線が用いられ、散らしの美しさも優れている。線がふっくらとして実に艶美な感じを与えるが、濃淡の変化の際立った墨つぎと、太い線と細い線を絡ませてゆく技巧とが、この色紙に一段と精彩を添えている。なお、歌行頭の斜線(合点)や「古」などの書入れは藤原定家によるもので、かつては彼の所有品であったことがわかる。大きさは、縦13.7cm〜13.8cm、横11.8cm。現存数はおよそ30点。こちらも個人蔵が多く、他に東京国立博物館、三井記念美術館、畠山記念館、五島美術館、藤田美術館、湯木美術館、白鶴美術館(古筆手鑑所収)、文化庁(古筆手鑑『かりがね帖』(重要文化財)所収)など、諸家分蔵。
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