北朝鮮軍の前進
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/18 06:12 UTC 版)
アメリカ第1騎兵師団で一番北に布陣していたのは、第5騎兵連隊のG中隊だった。この部隊は303高地に陣取り、第8軍の最右翼に位置していた。その北には、韓国第1師団が布陣し、その先には韓国軍部隊が線状に展開していた。 何日もの間、国連軍の諜報筋は、北朝鮮軍が、韓国軍第1師団と対峙する形で、洛東江の対岸に大兵力を集中させていることを報じていた。8月14日未明、北朝鮮軍の一連隊が、水中の仮設橋を用いて倭館の10キロメートル北方で渡河し、韓国第1師団の前方に出た。アメリカ軍と韓国軍の境界線のすぐ北側の高地に陣取っていた韓国軍は、まだ深夜のうちに、この渡河部隊からの攻撃を受けた。夜が明けた後、水中の橋は空爆によって部分的に破壊された。渡河した北朝鮮軍は、南方へ展開し、正午には、北朝鮮軍の小火器による銃撃が、303高地の第5騎兵連隊G中隊にも浴びせられるようになった。それまでに渡河した北朝鮮軍部隊が、東方へ進み山間部へ進もうとしていたのに対し、この渡河部隊は南の倭館へ向かっていた。 8月15日午前3時30分、303高地のG中隊は、50人ほどの北朝鮮軍歩兵が、2輌のT-34戦車に支援され、丘の麓の河岸道路を南へ進んでいるのを確認した。また、その後方に別の部隊が続いているのも確認されたが、こちらは直ぐにF中隊と小火器での交戦状態になった。敵軍に包囲されることを避けるため、F中隊は南へ退却したが、G中隊は退却しなかった。午前8時30分には、303高地にいたG中隊とそれを支援していたH中隊の迫撃砲小隊は、北朝鮮軍によって完全に包囲されていた。この時点で303高地のアメリカ軍は、他のアメリカ軍部隊から切り離され、孤立していた。第5騎兵連隊B中隊と戦車小隊から成る予備部隊は、G中隊の救出を図ったが、303高地を包囲している北朝鮮軍の包囲を突破できなかった。
※この「北朝鮮軍の前進」の解説は、「303高地の虐殺」の解説の一部です。
「北朝鮮軍の前進」を含む「303高地の虐殺」の記事については、「303高地の虐殺」の概要を参照ください。
- 北朝鮮軍の前進のページへのリンク