北の国から '83冬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 02:32 UTC 版)
令子の葬儀から一年半、季節はクリスマス。東京に出稼ぎに行っていた五郎が12月30日、麓郷に戻ってくる。賑やかな年の瀬を迎える中で入ったのは「正吉が家出した」という一報だった。夜、正吉を発見した純たちは彼を丸太小屋に連れ帰る。翌朝、黒板家を訪ねてきた正吉の母・みどりは「しばらく正吉を預かってほしい」と頼むのだった。しばらく後、もう一人の来客があった。五郎の父や杵次たちとともに麓郷開拓の祖とも言われる沢田松吉だった。東京で成功し隠居したという松吉の帰郷に宴席が設けられるなど、町は活気づく。そんな中、五郎を訪ねてきたのは、借金取りの男たちだった。五郎はみどりが作った借金700万円の連帯保証人になっていたのだ。金を払うか土地を手放すか、五郎は追い込まれていく。そうとも知らず「家出中の自分に螢が年賀状をくれた」と浮かれる正吉。しかしひょんなことから借金問題が純たちの耳に入り、五郎と純、正吉の関係に軋みが生じる。そして正吉はまたも黒板家を飛び出してしまった。その夜、再びみどりが姿を現した。みどりは「もうどうにもならん」と呻めき、汽車で富良野を出ていくという。そんなみどりに、五郎は松吉や自分の半生を引き合いに出し故郷の良さを説く。そして「正吉を預からせてくれ」と申し出るのだった。朝、丸太小屋の雪おろしが進んでいた。正吉だと三人は直感するが、その姿は見えない。正吉は屋根から落下し、雪の中に埋まっていた。一命を取り留めた正吉が眠る病院。仲間たちが五郎を訪ねてきた。皆が少しずつ金を工面したという。ただただ頭を下げる五郎。そんな話に松吉は援助を申し出るが、松吉の孫娘、妙子は涙ながらに言う。「都合のいいことばかり思い出さないでよ」。郷里を出奔した松吉の記憶はもはや曖昧で、財力など持ち合わせていなかったのだ。しかし五郎は松吉の言葉に真摯に向き合い、礼を述べるのだった。夕刻、松吉は、雪の中で豆を蒔いていた。その目に映るのは、かつての開拓の同志たち。松吉の心は、自身が豆大臣と言われたあの頃へ、村が豆で豊かになったあの頃へと旅していた。そして1月10日、再び五郎は出稼ぎのため、東京へ向かう。純、螢、正吉の三人の暮らしが始まろうとしていた。
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