切り出しについて
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/16 08:36 UTC 版)
切り出しとは、切除された病理検体について肉眼診断(マクロ診断)を行い、顕微鏡を用いた病理診断(ミクロ診断)に必要な標本部分を採取することである。 たとえば腫瘍があるとき、腫瘍の癌部分を切り出して標本化しなければ癌の診断はつかない。また、摘出された標本で取り残しがないかどうか調べるために切断端を標本化するが、これも適切な部位が切り出されなければ、摘出できたかどうか顕微鏡で確認することができない。切り出しは病理診断を左右し、その後の治療を左右する重要業務である。切り出しは医行為であり医師が行うべきとされる理由である。 「肉眼診断」も参照 登録衛生検査所は診断ができないので、摘出材料を丸ごと受け取るとマクロ診断ができないため切り出すことができず、標本作成ができない。衛生検査所が切り出しを必要とする材料の標本化ができないとすれば、外科等の手術した部門で切り出すか、病理診断を担当する病理診断科に依頼して切り出すか選択することになる。切り出しは時間が掛かるため作業工数などについての配慮が必要である。切り出しに診療報酬または病理診断料の評価がないからといって切り出しが不充分なまま、病理医が診断する事態は避けるべきである。 各種がん取り扱い規約は改定されるたびに病理所見の記載項目がますます詳細になるが、癌診断での病理診断の重要性が高まってきているという観点からも、切り出しは病理診断科等で行う医療行為であり、登録衛生検査所が受託可能な病理学的検査の業務ではない。病理医にとってマクロ診断とミクロ診断の双方を担当することが病理診断の精度向上につながるのである。 病理医による病理材料切り出しについて診療報酬評価も検討すべき時期にきているといえよう。
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