分派過程の蓄積における異教化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/04 07:43 UTC 版)
「異教」の記事における「分派過程の蓄積における異教化」の解説
ある原始宗教、民族宗教、時に世界宗教において、信仰原理や世界観などが著しく相違する分派が成立し、分派と本来の民族宗教等とのあいだの宗教原理や神学の違いが分派や異端の域を超えて大きくなった場合、元の宗教と新しく分派過程で確立した宗教は、異教関係となることがある。 このような例は、インドにおけるバラモン教とその異端的分派と言える原始仏教やジャイナ教の関係がそうである。中心となる神学概念としての我(アートマン)の存在や輪廻転生について、原始仏教もジャイナ教も、バラモン教の概念を継承しつつ、その位置付けに違いがある。 原始仏教は釈迦が創始したとされ、ジャイナ教はヴァルダマーナが創始したと通説では云われるが、原始仏教においても、ジャイナ教においても、先行する宗教思想が存在し、これらの原型的な分派的宗教思想が洗練された結果として釈迦の原始仏教や、ヴァルダマーナのジャイナ教が成立したと考えられる。原始仏教やジャイナ教は宗教としての独立を開祖(仏陀やマハーヴィーラ)が提唱すると同時に、バラモン教とは「異なる宗教」つまり異教であるという自覚と認識を持っていた。しかし、バラモン教の側では、原始仏教やジャイナ教を、異端として把握した。仏教においては外道という用語で表されることがある。 結果的には、バラモン教と仏教やジャイナ教との関係は異教関係となるが、シンクレティズムによる異端化・異教化ではなく、内部的な神学思想的展開における分派の独立異教化の過程がこのような例においては起こっている。
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