円束の方程式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/01/21 05:39 UTC 版)
「円束 (射影幾何学)」の記事における「円束の方程式」の解説
与えられた二円の生成する円束の方程式は、その二円の標準形方程式の線型結合として λ ( x 2 + y 2 + a 1 x + b 1 y + c 1 ) + μ ( x 2 + y 2 + a 2 x + b 2 y + c 2 ) = 0 {\displaystyle \lambda (x^{2}+y^{2}+a_{1}x+b_{1}y+c_{1})+\mu (x^{2}+y^{2}+a_{2}x+b_{2}y+c_{2})=0} のように与えられる。この円束に属する各円は助変数の対 (λ, μ) を決めるごとに同定される。もとの二円は、一方の助変数を = 0 と置くことによって得られ、この二円をこの円束の基円 (base circle) または生成円 (generationg circle) と呼ぶ。しかし、与えられた円束の生成円の取り方は任意であり、その円束に属する相異なる任意の二円を生成円として用いることができる。両方の助変数を = 0 と置くことは、上記の方程式が自明な関係式 0 = 0 となって意味を成さない。 一方の助変数が常に非零であるものとするとき、円束の方程式は助変数を一つにすることができる。例えば、μ ≠ 0 の仮定のもと k = λ⁄μ と置けば、方程式は k ( x 2 + y 2 + a 1 x + b 1 y + c 1 ) + ( x 2 + y 2 + a 2 x + b 2 y + c 2 ) = 0 {\displaystyle k(x^{2}+y^{2}+a_{1}x+b_{1}y+c_{1})+(x^{2}+y^{2}+a_{2}x+b_{2}y+c_{2})=0} と書ける。しかし、この円束の方程式は μ = 0 に対応する円を表さないから、不完全である。このような性質は、端的に言えば助変数の対 (λ, μ) は射影的な助変数であると言い表される。射影幾何学の言葉で言えば、一つの助変数 k に支配される円束の方程式において μ = 0 に対応する生成円は k = ∞, すなわち無限遠点にある。 半径が r で中心が (p, q) であるような円の方程式は ( x − p ) 2 + ( y − q ) 2 = r 2 {\displaystyle (x-p)^{2}+(y-q)^{2}=r^{2}} α ( x 2 + y 2 ) − 2 β x − 2 γ y + δ = 0 {\displaystyle \alpha (x^{2}+y^{2})-2\beta x-2\gamma y+\delta =0} の形に書くことができる。実際、α = 1, β = p, γ = q, δ = p2 + q2 − r2 と置けばよい。このとき、四つ組 (α, β, γ, δ) に対して任意のスカラー倍を行って得られる別の四つ組もまた同じ円を与えるから、この四つ組を平面上の円全てからなる空間における斉次座標(英語版)と看做すことができる。同じ方程式で α = 0 の場合は直線を表すが、これは「退化した」円と考えるべきである。α ≠ 0 のとき、逆に解いて p = β⁄α, q = γ⁄α, r = √−δ − β2 − γ2⁄α2 とできるから円が一つ決まる。注意すべきは、最後の式で r = 0(点円、一点に退化した円)となる場合や r が純虚数となる場合(この場合、四つ組 (α, β, γ, δ) は虚円 (imaginary circle) を表すという)が起こり得ることである。 二円 (α1, β1, γ1, δ1), (α2, β2, γ2, δ2) の生成する円束は、これらのアフィン結合、すなわち四つ組 z ( α 1 , β 1 , γ 1 , δ 1 ) + ( 1 − z ) ( α 2 , β 2 , γ 2 , δ 2 ) {\displaystyle z(\alpha _{1},\beta _{1},\gamma _{1},\delta _{1})+(1-z)(\alpha _{2},\beta _{2},\gamma _{2},\delta _{2})} の表す円の(z を助変数と見た)全体の成す集合である。
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