円板を使った幾何的解釈
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/11 00:25 UTC 版)
固有性の付値判定法を直感的に理解するために、複素数体上の形式的冪級数環(これは離散付値環)のスペクトル Spec ( C [ [ t ] ] ) {\displaystyle {\text{Spec}}(\mathbb {C} [[t]])} を考える。幾何学的には、これは無限小の円板、もしくは複素解析的に円板 Δ = { x ∈ C : | x | < 1 } {\displaystyle \Delta =\{x\in \mathbb {C} :|x|<1\}} と解釈することができる。原点まわりの半径 r {\displaystyle r} の円板で収束する任意の冪級数 f ( t ) = ∑ n = 0 ∞ a n t n {\displaystyle f(t)=\sum _{n=0}^{\infty }a_{n}t^{n}} は、定数倍の座標変換をすると単位円板上の冪級数として表すことができるからである。この冪級数環の商体は、 t {\displaystyle t} の逆元を加えた、原点で極を持ってもよい冪級数からなる環 C [ [ t ] ] [ t − 1 ] = C ( ( t ) ) {\displaystyle \mathbb {C} [[t]][t^{-1}]=\mathbb {C} ((t))} である。幾何学的には、これは原点を除いた開円板 Δ ∗ = { x ∈ C : 0 < | x | < 1 } {\displaystyle \Delta ^{*}=\{x\in \mathbb {C} :0<|x|<1\}} を表している。 Spec ( C ) {\displaystyle {\text{Spec}}(\mathbb {C} )} 上のスキームの射に対して、離散付値環として上記のものを取って固有性の付値判定法の状況にあてはめると、次の可換図式になる。 Δ ∗ → X ↓ ↓ Δ → Y {\displaystyle {\begin{matrix}\Delta ^{*}&\to &X\\\downarrow &&\downarrow \\\Delta &\to &Y\end{matrix}}} 固有性の付値判定法は、 Δ ∗ {\displaystyle \Delta ^{*}} から X {\displaystyle X} への射を点 0 ∈ Δ {\displaystyle 0\in \Delta } で埋めて Δ {\displaystyle \Delta } から X {\displaystyle X} への射にできることが、固有であることの必要十分条件だと主張している。
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