内因性RNAa
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/23 04:50 UTC 版)
2008年、Placeらは、いくつかのヒト遺伝子のプロモーター上にmiRNA miR-373の標的を同定し、miR-373の模倣体をヒト細胞に導入すると、予測される標的遺伝子の発現が誘導されることを発見した。この研究は、RNAaが天然に存在する非コードRNA(ncRNA)によって媒介される可能性があることを示す最初の例となった。2011年、Huangらはさらに、マウス細胞を用いて、miRNAを介した内因性RNAaが生理学的状況で機能し、がん細胞が成長の優位性を得るために利用している可能性があることを実証した。それ以来、多くのmiRNAが、遺伝子プロモーターまたはエンハンサーを標的とすることで遺伝子の発現をアップレギュレートし、それによって重要な生物学的役割を果たしていることが明らかになった。その好例が、卵巣がんで増幅により過剰発現しているmiR-551b-3pである。miR-551b-3pは、STAT3(英語版)のプロモーターを標的としてその転写を増加させることにより、卵巣がん細胞にアポトーシスに対する抵抗性と増殖の優位性をもたらす。 線虫の皮下胚葉細胞では、lin-4(英語版) miRNAの転写は、そのプロモーターにある保存されたlin-4相補的要素に結合するlin-4自身によって正に制御されており、正の自己調節ループを構成している。 線虫では、アルゴノートCSR-1は、RNA依存性RNAポリメラーゼに由来する22G低分子RNAと相互作用し、生殖細胞系発現の転写物に対するアンチセンスを用いて、エピジェネティックな活性化を促進することにより、Piwi(英語版)-piRNA(英語版)を介したサイレンシングからこれらのmRNAを保護している。 哺乳類細胞において、内在性RNAaによる遺伝子制御がどの程度広く行われているかは、現在のところ不明である。これまでの研究で、miRNAとAgoタンパク質(Ago1)の両方が、ヒトゲノムの多数の部位、特にプロモーター領域に結合し、遺伝子の転写に大きなプラス効果をもたらすことが明らかになっている。
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