全翼機との違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/09 00:23 UTC 版)
「リフティングボディ」の記事における「全翼機との違い」の解説
全翼機は機体全体を翼とすることで円筒形の胴体や尾翼による抗力およびその重量をなくして高効率を目指した形態である。一方のリフティングボディ機は胴体で積極的に揚力を生み出し通常翼を廃した分の抗力低減により高速性を重視した機体である。胴体と翼の区別を無くした機体という意味では両者は共通しており、「機体が翼だけ」「機体が胴体だけ」という、翼と胴体の言葉の違いだけ、とも見える。 しかしながらリフティングボディと全翼機は、翼と胴体という単なる言葉に留まらない違いがある。それは前述の横幅荷重と揚抗比の関係を考察すれば理解できる。つまり全翼機は「横幅が広い形状であれば揚抗比が大きくなる亜音速領域に最適化し、機体全体を横幅の広い形状にした航空機」である。一方のリフティングボディは「横幅の広さが揚抗比とは関係しない超音速領域以上に最適化し、横幅を切り詰めた(そのため翼を廃した)航空機」という事になる。よって、主に全翼機は大気圏中で一般的に適用される速度域(音速以下)を想定しており、その効率(燃費)の良さやステルス性を活かした大型機(爆撃機)としてアメリカを中心に研究開発が行われてきた経緯がある。一方、狭義のリフティングボディは主に音速以上で飛行する航空機の機体にかかる負荷を減らし、十分な滑空性を持たせるために利用されてきた。 しかし、両者とも機体面の広い領域で有効な浮揚力を発生しているという点では共通している。そして全翼機とリフティングボディの中間とも言える存在として、ブレンデッドウィングボディという概念が存在する。ブレンデッドウィングボディとは翼と胴体の境界を無くし、一体的に成形する事である。この事によって仰角を大きく取った際に胴体も翼と同様の効果を示す。これにより実質上翼面積を増やすのと同等の効果を得た、全翼機に近い存在である。逆に言えば、胴体が翼の働きをする分、翼面積を節約した、リフティングボディに近い存在である。
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