優先度の定義と解釈
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/09/25 06:52 UTC 版)
優先度とは、AHP 階層内の各ノードに結び付けられた数値のことである。 それらは、組になっているノード間での相対的な重要度を表している。 優先度は、確率のように0から1の間の絶対値になるが(ただし0にはならない)、単位や次元といったものはない。例えば優先度0.200のノードは優先度0.100のノードの2倍の重みを持ち、優先度が0.020のノードの10倍の重みをもつことになる。検討中の問題の性格により、この“重み”は重要性、選好性、可能性、または意思決定者が決める他の因子に関するものと解釈される。 優先度はそのアーキテクチャにより階層の中で配分されたものであり、それらの実体は、階層を作る過程で意思決定者により入力された情報により適宜解釈されるべきものである。なお、総合目標、評価基準、代替案の優先度は密接には関係してはいるが、それぞれ独立に考えることが必要である。 総合目標の優先度は1.000と定義する。これより代替案の優先度は常に1.000以下になる。評価基準の優先度は1つのレベルだけからなる場合はそれらの合計は1.000になるが、下位評価基準を持つような場合は複雑になる。以下、具体例により説明する。 例において同じレベルにある、総合目標、評価基準、代替案の優先度の和はどれも1.000である。 例にある優先度は、評価基準や代替案の重要度が計算される前に設定されるものであり、同レベルにある優先度は全て等しくなっている。これらの値は階層のデフォルト優先度と呼ばれる。たとえば階層にもし5番目の評価基準を追加されると評価基準のデフォルト優先度は0.200になり、代替案が2つだけになればデフォルト優先度は0.500になる。 ここで2つの新しい概念を与える。これらは階層内に2つ以上の評価基準のレベルがある場合、すなわち下位評価基準がある場合に適用されるもので、ローカルな優先度とグローバルな優先度である。各評価基準の下にいくつかの下位評価基準がある次の例により説明する。 ある親ノードに関して、姉妹関係にある子ノード間での相対的な重要度がローカルな優先度(灰色の数値)である。評価基準の組にしろ、それらの下にある姉妹関係にある評価基準の各組にしろ、ローカルな優先度の総和は1.000になる。一方、姉妹関係にある子ノードのローカルな各優先度と、それらの親ノードのグローバルな優先度を掛け合わせることで得られる優先度がグローバルな優先度(黒色の数値)である。同じレベルにある全ての下位評価基準のグローバルな優先度の総和は1.000になる。 これらの規則は以下のように書ける: 階層において、子ノードのグローバルな優先度の総和は、それらの親ノードのグローバルな優先度に等しい。 組となる子ノードのローカルな優先度の総和は1.000である。 ここまでデフォルト優先度について説明してきた。AHP(階層分析法)を進めていく過程で意思決定者が各ノードの重要度を決めていくが、そのときはこのデフォルト優先度を上書きしていくことになる。意思決定者は一対比較によりデフォルト優先度を上書きしていくことになる。
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