債務分析その他手法の問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 03:34 UTC 版)
「信用格付け」の記事における「債務分析その他手法の問題点」の解説
数理手法の誤りによって、債務分析の不十分性が指摘される。それはとりわけ国債の格付けに顕著である。2002年に日本国債が格下げされた際、日本の財務省が「日米など先進国の自国通貨建ての国債の債務不履行はありえない」として文書で抗議した。その中で財務省は。「日本は世界最大の貯蓄過剰国、経常収支は黒字で世界最大の対外純債権国さらには外貨準備も世界最高であり、国債が極めて低金利で安定的に国内で消化されている」と主張している。 また2011年8月、アメリカ国債の格下げがS&Pによってなされたが、アメリカ合衆国財務省は、その格付け会社が約2兆ドルの算出ミスをしていることを指摘しつつ、S&Pによる債務分析に欠陥があると発表している。ホワイトハウスの経済諮問会議の議長であるAustan Goolsbeeは、その2兆ドルの計算エラーをS&Pがチェックし忘れていたことを酷評し、計算ミスをしなかった格付け会社は米国債にAAAを与えていたと述べた。FRBの前議長を務めていたアラン・グリーンスパンは、そもそもアメリカ合衆国連邦政府はアメリカ合衆国ドルを発行できる(print money)ので、米国政府が債務不履行に陥ることはない(zero probability of default)と断言する。ハーバード大学の元学長であり前国家経済会議(NEC)委員長であるローレンス・サマーズは、前歴をもつS&Pの数学的能力に疑問を呈する発言をしている。
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