債務不履行責任との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 18:11 UTC 版)
ある行為が不法行為責任と債務不履行責任の両方の成立要件を満たす場合には請求権の競合という問題を生じる。この場合、当事者はいずれを行使することも可能であるとみる請求権競合説、いずれか一方の請求権が優先するとみる法条競合説、要件と効果は両制度の規範上における調整によって一つの請求権に統合されるとみる規範統合説などが対立するが、多数説・判例は請求権競合説をとっており被害者は加害者に対して不法行為責任を追及することも債務不履行責任を追及することもできるとする(詳しくは訴訟物を参照)。 不法行為に基づく損害賠償請求権が消滅時効にかかっても、債務不履行に基づく損害賠償請求権が消滅時効にかかっていなければ債務不履行責任が認められうる(最判昭50・2・25民集29巻2号143頁)。ただし、民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)により、人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の長期の時効期間は、不法行為に基づく損害賠償請求権が不法行為の時(権利を行使することができる時)から20年(民法724条)、債務不履行に基づく損害賠償請求権も権利を行使することができる時から20年(民法167条)で同じになっている。
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