作曲手腕の成熟
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/02 04:57 UTC 版)
「神々の黄昏 (楽劇)」の記事における「作曲手腕の成熟」の解説
すでに述べたとおり、『ニーベルングの指環』四部作は、台本については『神々の黄昏』の前身となる『ジークフリートの死』が最初に成立し、ここから順次さかのぼる形で手がけられたが、作曲は逆に上演順にすすめられ、『神々の黄昏』が最後となった。これにより、本作では『ラインの黄金』以降の豊富な動機群を思うさま利用できたことになる。 『神々の黄昏』に先立つ『ジークフリート』の作曲期間に10年以上の中断があることから、『ジークフリート』第2幕と第3幕で作風様式の変化がよく指摘される。しかし、指揮者・作曲者のピエール・ブーレーズは、『神々の黄昏』序幕の冒頭26小節の異例ともいえる短さ、「ノルンの情景」に見られる和声語彙の充実、テクスチュアの豊饒、主題操作の想像を絶したコンビネーションを考えたとき、ワーグナーの作曲手腕の成熟はむしろ『ジークフリート』と『神々の黄昏』の間に見られるとし、ワーグナー晩年の様式はこの「ノルンの情景」と「ハーゲンとアルベリヒの情景」(第2幕第1場)に始まっていると説く。。 一方、当初はワーグナーの洗礼を受けながら、後に反発した作曲家クロード・ドビュッシーは、本作のようにライトモティーフが短い間に頻繁に交錯することについて「注意深く聴かれたがる小うるさい短い楽句のぎっしりつまった音楽」と揶揄している。
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