伊那市創造館とは? わかりやすく解説

伊那市創造館

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/01 03:47 UTC 版)

伊那市創造館
施設情報
前身 上伊那図書館
館長 捧剛太
事業主体 伊那市
開館 2010年5月24日
所在地 長野県伊那市荒井3520番地
位置 北緯35度50分19.4秒 東経137度57分23.7秒 / 北緯35.838722度 東経137.956583度 / 35.838722; 137.956583座標: 北緯35度50分19.4秒 東経137度57分23.7秒 / 北緯35.838722度 東経137.956583度 / 35.838722; 137.956583
外部リンク 伊那市創造館
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伊那市創造館(いなしそうぞうかん)は、長野県伊那市荒井3520番地にある博物館

建物は1930年(昭和5年)に上伊那図書館として竣工し、2003年(平成15年)まで公共図書館として用いられていた。その後伊那市に移管されて伊那市指定有形文化財に指定され[1]、2010年(平成22年)には生涯学習施設・博物館類似施設の機能を持つ伊那市創造館が開館した。

歴史

上伊那図書館

上伊那図書館
情報
設計者 黒田好造
施工 岡谷組
構造形式 鉄筋コンクリート造
敷地面積 5,020 m²
建築面積 1,356.276 m²
階数 3階建(一部4階建)
高さ 17.27m
エレベーター数 1基
着工 1929年9月
竣工 1930年12月
開館開所 1930年12月7日
所在地 長野県伊那市荒井3520番地
文化財 伊那市指定有形文化財
指定・登録等日 2008年8月27日
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1930年(昭和5年)、長野県上伊那郡伊那町に財団法人が運営する上伊那図書館が竣工・開館した。60年以上も公共図書館としての役割を有していたが、1994年(平成6年)に伊那市立図書館が開館したことで利用者が激減したため、2003年(平成15年)3月31日で閲覧・貸出を停止し、2004年(平成16年)3月31日に公共図書館としては完全閉館した[2]

伊那市創造館

2004年(平成16年)、旧上伊那図書館の管理が伊那市に移管され、1階にあった上伊那教育会の事務所は再開発ビル「いなっせ」に移転した[3]。2008年(平成20年)8月27日には旧上伊那図書館の建物が伊那市指定有形文化財となった[1]。伊那市は合併特例債まちづくり交付金を活用し、9億6000万円を投じて本館の耐震化、エレベーターの設置によるバリアフリー化、収蔵庫の新設を行った[4][5]。地下1階・地上1階の収蔵庫棟が併設され、約2万点の貴重な資料や文化財は収蔵庫に保管された[5][6]。2010年(平成22年)4月16日に竣工式が行われ[5]、5月24日に生涯学習施設・博物館類似施設の機能を持つ伊那市創造館が開館した[4]。全国公募によって捧剛太が館長に就任している[7]

建物

大正末期から昭和初期の様式がみられる近代建築であり、上伊那地方に現存するもっとも古い鉄筋コンクリート建築物[8]、上伊那地域唯一の昭和初期の建造物[5]、伊那市唯一の洋館[9]である。

鉄筋コンクリート造3階建(一部4階建)であり、建物高は17.27m[10]。延床面積は1階から3階までが340.692m2などであり、建物全体で1,356m2だった[10]。階段の手すりには大理石が使用され[5]、外壁には高遠焼のテラコッタタイルが使用されている[11]。建物の四隅には曲面が配され、専用のタイルが貼られている[12]。ファサードの2階部分と3階部分を貫いているガラス張りの出窓も含めて、外観には黒田の嗜好が反映されているが、森山の東京歯科医学専門学校(東京・水道橋)との共通点も指摘されている[12]。スチーム暖房を備えている[9]

「長野県鉄筋コンクリート建築の開祖」黒田好造が設計を担当したとされていたが、2011年には東京都内で森山松之助が書いた図面が発見され、森山が基本設計を行っていたことが判明した[13]。森山は台湾総督府の実施設計などを担当しており、長野県内では上諏訪温泉片倉館を担当している[12]。一方の黒田は長野市の六十三銀行(現・八十二銀行)、上諏訪町役場、飯田市の飯田市立追手町小学校などを担当しているが[14]、2007年時点で現存するのは飯田市立追手町小学校校舎と上伊那図書館のみである[15]。製糸業の実業家である武井覚太郎が建築資金を提供した。施工は岡谷組。

施設

  • 1階
    • 体験学習室 - 講座やワークショップなどに用いる。
  • 2階
  • 3階
    • 講堂 - 講演会や演奏会に用いる。

関連項目

脚注

  1. ^ a b 伊那市の指定文化財一覧表 伊那市
  2. ^ 上伊那図書館閉館記念誌、上伊那教育編集委員会『上伊那図書館閉館記念誌』上伊那図書館、2003年
  3. ^ 閉館記念誌 2003, p. 93.
  4. ^ a b c 「昭和初期の姿保ちつつ改修 伊那市創造館、来月24日開館」朝日新聞, 2010年4月17日
  5. ^ a b c d e 伊那市創造館 竣工 伊那谷ねっと, 2010年4月17日
  6. ^ 「伊那市創造館(伊那市) 地元の土器・石器など常設(スポット)」日本経済新聞, 2010年5月22日
  7. ^ 「創造館」の館長に捧 剛太さん 伊那谷ねっと、2009年12月23日
  8. ^ 伊那市創造館 八十二文化財団
  9. ^ a b 「上伊那図書館 モダンな外観に注目 伊那市」朝日新聞, 2000年2月23日
  10. ^ a b 閉館記念誌 2003, p. 44.
  11. ^ 上伊那地域景観協議会:建造物の景観 長野県: 上伊那地方事務所
  12. ^ a b c 「旧上伊那図書館 『壮麗完備』愛されて80年余」朝日新聞, 2014年2月27日
  13. ^ 「旧上伊那図書館 森山松之助設計か」信濃毎日新聞, 2011年5月28日
  14. ^ 黒田好造の建築学ぶ 伊那市創造館フォーラム 長野日報, 2016年5月22日
  15. ^ 吉澤政己「飯田市内の建築史資料調査報告書 福島家住宅・追手町小学校校舎・旧山本中学校校舎」『飯田市美術博物館 研究紀要』第17巻、飯田市美術博物館、2007年、55-70頁、doi:10.20807/icmrb.17.0_55ISSN 1341-2086NAID 110008448410 
  16. ^ 伊那市創造館が開所 地域史研究の新たな拠点 中日新聞, 2010年5月25日

文献

  • 上伊那図書館閉館記念誌、上伊那教育編集委員会『上伊那図書館閉館記念誌』上伊那図書館、2003年。 
  • 上條宏之(監修)『信州の近代遺産』しなのき書房、2006年。 

外部リンク


伊那市創造館

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 16:49 UTC 版)

上伊那図書館」の記事における「伊那市創造館」の解説

閉館後2004年には管理伊那市移管された。貴重書伊那市移管され、その他の資料上伊那郡の各公共図書館公立小中学校福祉施設配布された。上伊那図書館1階置かれていた上伊那教育会事務所は、JR飯田線伊那市駅前の再開発ビルいなっせ」の4階移転している。2008年8月27日には伊那市指定有形文化財となった伊那市合併特例債まちづくり交付金活用し、9億6000万円投じて本館耐震化エレベーター設置によるバリアフリー化収蔵庫新設行った地下1階地上1階収蔵庫棟が併設され、約2万点の貴重な資料文化財収蔵庫保管される2010年4月16日竣工式が行われ、5月24日生涯学習施設博物館類似施設機能を持つ伊那市創造館が開館した全国公募によって捧剛太が館長就任1階には講座ワークショップなどに用い体験学習室などがあり、2階には文化財など展示する常設展示室があり、3階には講演会演奏会用い講堂がある。常設展示室では、重要文化財指定受けた神子遺跡南箕輪村)の出土品などが展示されている。入場無料だが、2階の上伊那図書資料室観覧する場合には、1階事務室受付を行う必要がある

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