付着物について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 04:44 UTC 版)
検察側と弁護側で意見の割れた血痕鑑定の結果については、一審判決は桂鑑定を全面的に採用した。船尾鑑定については、試料の古さに対する配慮が乏しく「検査を安易に進めた節の窺える」としてこれを排斥している(これについて弁護側は、2-3万倍もの鋭敏度を誇るフェノールフタレイン反応試験が、陰性となるまでに高度に希釈されていたとは、船尾鑑定書添付写真の色調からみても考えられない、と反論している)。試料の本数の食い違い(上記参照)についても、単なる書類の誤記載であるとして退けた。最終的に判決は、右後輪周辺からの3点の付着物 (1, 2, 5) について、事件との関連を認めている。 轢過の様態については、右後輪のみによる轢過とした検察側の主張を否定し、被害者は右前輪で体を轢過された後に右後輪で頭部を轢過されたと認定した。このため、認定と矛盾する右前輪周辺の付着物 (3, 4) については判決では触れず、布目痕 (7, 8) についても事件との関連を否定した。付着物について工学的に疑義を呈した江守鑑定についても、「右後輪のみによる轢過を前提としたものであるうえ、その分析手法もいささか機械工学的なものに偏りすぎている」の一言で退けた。 西会津派出所前での検問で付着物が見過ごされたのは不自然である、との弁護側の主張に対しては、深夜に懐中電灯の明かりを頼りに5分程度行われた検問では、付着物が見過ごされたとしても不合理ではない、とした。付着物を見ていないとした遠藤の同僚の証言や、遠藤自身にトラックを岩沼署まで運ばせた不自然さについての弁護側の主張は、判決では触れられなかった。
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