他界への旅立ち
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/04 04:21 UTC 版)
他界へ旅立つ際には、境界としてステュクス川などの川またはその川に架かる橋や門といった象徴が世界中でよく用いられる。 死者の魂を他界へと運ぶとされるものとして、馬や鳥、船といったものがある。馬は、ケルト神話の死の女神エポナなどが有名であり、ヨーロッパで信仰が衰えた後も、ケルピーといった命を奪う妖精伝承の形で残っていると考えられる。鳥は、葬儀に鳥葬といった形式があり、また霊魂の表象として広く用いられる。船は、上述のような境界となる川を渡すものである他、船葬墓としてヴァイキングなどの風習が知られている。副葬品としての船も各地で見られるものである。 昔話研究者として知られるウラジーミル・プロップは、多くの昔話において上記の三つが主人公の移動手段として典型的であり、他界への旅との関連性を指摘している。 別例として、アフリカのズール族の場合、男がヤマアラシの後をつけて一昼夜旅をしたところで一つの村にたどりつき、そこで見た光景は、釜炊く火の煙、人々が忙しく動き回り、犬は鳴き、子供達は騒がしくわめき、山・崖・河のたたずまいも地上の世界と少しも変わらなかったが、「近づいてよく見たいところだが、捕まったら命がない」と思い、大急ぎで駆け戻ってみると、地上では自分の葬儀が行われていたという話が伝えられている。
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