人類の進化におけるトバ事変
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 09:13 UTC 版)
「トバ・カタストロフ理論」の記事における「人類の進化におけるトバ事変」の解説
かろうじて生き残った現世人類も人口減少によってボトルネック効果が生じ、その遺伝的多様性はほぼ失われた。現在、人類の総人口は76億人にも達するが、遺伝学的に見て、現世人類の個体数に比して遺伝的特徴が均質であるのは、トバ事変のボトルネック効果による影響であるという。遺伝子の解析によれば、現世人類は極めて少ない人口(1000組-1万組ほどの夫婦)から進化したことが想定されている。遺伝子変化の平均速度から推定された人口の極小時期はトバ事変の時期と一致する。 この学説は6万年前に生きていた“Y染色体アダム”や14万年前に生きていた“ミトコンドリア・イヴ”を想定した学説とは矛盾しない。また、現世人類の各系統が200万年〜6万年の時期に分岐したことを示している現世人類の遺伝子の解析結果もトバ・カタストロフ理論とは矛盾しない。なぜならば、トバ・カタストロフ理論は総人口が数組の夫婦まで減少したという学説ではなく、そこまで凄まじいボトル・ネック現象を想定している訳ではないからである。現世人類の遺伝的多様性はトバ事変によって、現世人類の人口が一度減少したことを示唆する。 トバ・カタストロフ理論は定説となり、トバ事変の後まで生き残ったホモ属はネアンデルタール人とヒトのみであるとされていたが、ネアンデルタール人と姉妹関係にあたる系統であるデニソワ人がトバ事変後に生存していたことが、ロシア・アルタイ地方から出土した人骨により近年新たに確認されている。またインド・マディヤ・プラデーシュ州にあるダバの遺跡では、トバ事変前後で同じタイプの石器が使われていることも確認されており、異論が唱えられている。
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