人種論と優生学との関連
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/08 08:32 UTC 版)
「エルンスト・ヘッケル」の記事における「人種論と優生学との関連」の解説
ヘッケルは「人種」について、未開と成熟といった表現を不用意に用いたため、さまざまな批判を生んだ。 人類の起源はアフリカ大陸にあるとしたダーウィンらの単一起源説(Monogenesis)と対立し、アジアにあると主張したことで今日では人類の多地域人類進化説を唱えた先駆者とも再評価されている。 バチカン教皇庁レジーナ・アポストロルム大学大学院教授のリッカルド・カショーリとアントニオ・ガスパリは、ヘッケルは人種差別主義者であったことは疑いえないとして、次のヘッケルの言葉をその評価の根拠としている。 聾者や唖者、知恵おくれ、不治の遺伝病者などの障害者たちを成人になるまで生かしておいても、そこから人類はいかなる恩恵を得るだろう?…もしモルヒネの投与により不治の病人たちを言葉に尽くせぬ苦しみから完全に解放することにしたら、どれほどの苦しみ、どれほどの損失が避けられるだろう? ヘッケルの種の優生学的保存などの社会ダーウィニズム的な主張は、のちに優生学として継承され、さらにそうした優生学的な考えは、ナチスによるホロコーストを支える理論的な根拠としても扱われた。また、エコロジーとナチスのファシズムの二つの思想の潮流を辿ると、いずれもヘッケルを介するという点で共通項をあげることができるともされる。
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