交叉理論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/29 14:42 UTC 版)
数学では、交叉理論(intersection theory)(もしくは、交点理論)は、代数幾何学では代数多様体の上ので部分多様体の交叉についての分野で、 代数トポロジーではコホモロジー環の中の交叉の計算についての分野である。多様体の理論は古くからあり、曲線のベズーの定理や消去理論(elimination theory)に起源を持つ。他方、トポロジー理論では、交叉理論はより手短に定義形式へたどり着く。
トポロジカルな交叉形式
サイクルの交叉多重度の定義を導く原理は、ある意味では連続性にある。次のような基本的な例を考える。放物線 y = x2 と x-軸 y=0 の交叉は、 2·(0,0) である。理由は、もしサイクルの一つが動いたとすると(未定義な状態であるが)、ちょうど 2つの点である交叉があって、描いた位置にサイクルが近づくと、両方とも (0,0) にまとまる。(右の図は、y=-3 の放物線の交叉がないように見えることは、明らかに誤っているが、この理由は、単に実数解に限った描写をしているからである。)
最初に満足のいく交叉の定義をしたのは、ジャン・ピエール・セール(Jean-Pierre Serre)である。周囲の多様体 X が滑らかである(もしくは、全ての局所環が正則局所環とする。さらに、V と W を 2つの(既約、被約かつ閉である)部分多様体で、交叉が固有であるとする。構成は局所的であるので、従って、X の座標環の中の 2つのイデアル I と J で(交叉)多様体が表せるかもしれない。Z を集合論的な交叉 V ∩ W の既約成分とし、z をその生成点(generic point)とする。Z の交叉積 V · W の中の多重度は次によって定義される。
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交叉理論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/28 14:09 UTC 版)
「代数幾何学における交叉理論」を参照 カルティエ因子 D が豊富な直線束に対応していることを実際に決定するために、いくつかの幾何学的な条件がある。 曲線に対しては、因子 D が非常に豊富であることと、A と B が点である場合でも l(D) = 2 + l(D − A − B) であることとは同値である。リーマン・ロッホの定理により、少なくとも次数が 2g + 1 であるこの条件を持たす全ての因子は、非常に豊富である。このことは因子が豊富であることと次数が正であることとは同値であることを意味する。次数が 2g − 2 である標準因子が非常に豊富であることと、曲線が超楕円曲線ではないこととは同値である。 中井・モアシェゾンの判定条件(Nakai–Moishezon criterion)(Nakai 1963, Moishezon 1964)は、代数的閉体上の固有スキーム X 上のカルティエ因子 D が豊富であることと、X の任意の整閉な部分スキーム(英語版) Y に対して、Ddim(Y).Y > 0 であることとは同値であることを言っている。この特別な場合である曲線の場合は、因子が豊富であることと次数が正であることは同値であり、また、ある滑らかな射影的代数曲面 S に対して、中井・モアシェゾンの判定条件は、D が豊富であることと、自己交叉数(self-intersection number) D.D が(ゼロでない)正であることとは同値であることを言っている。従って、任意の S 上の既約曲線 C に対して、D.C > 0 を得る。 クライマンの判定条件(Kleiman condition)は、任意の射影スキーム X に対し、X 上の因子 D が豊富であることと、NE(X)の閉包、つまり、X の曲線の錐(英語版)(cone of curves)の中で D.C > 0 が任意のゼロでない元 C に対して成り立つことと同値であると言っている。言い換えると、因子が豊富であることと、ネフ因子(英語版)(nef divisor)によって生成される実円錐の内部にあることとは同値である。 Nagata (1959)はすべての曲線との交叉数が正であるが豊富ではない曲面上の因子を構成した。このことは、条件 D.D > 0 が中井・モアシェゾンの判定条件から省略できなく、クライマンの条件の NE(X) というよりも NE(X) の閉包を使う必要があることを意味している。 Seshadri (1972, Remark 7.1, p. 549) は、完備代数的スキームの上の直線束 L が豊富であることと、ある正の数 ε が存在し、X の中のすべての整な曲線 C に対して deg(L|C) ≥ εm(C) となることと同値であることを示した。ここに m(C) は C の点での多重度の最大値である。
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