交叉理論
交叉理論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/28 14:09 UTC 版)
「代数幾何学における交叉理論」を参照 カルティエ因子 D が豊富な直線束に対応していることを実際に決定するために、いくつかの幾何学的な条件がある。 曲線に対しては、因子 D が非常に豊富であることと、A と B が点である場合でも l(D) = 2 + l(D − A − B) であることとは同値である。リーマン・ロッホの定理により、少なくとも次数が 2g + 1 であるこの条件を持たす全ての因子は、非常に豊富である。このことは因子が豊富であることと次数が正であることとは同値であることを意味する。次数が 2g − 2 である標準因子が非常に豊富であることと、曲線が超楕円曲線ではないこととは同値である。 中井・モアシェゾンの判定条件(Nakai–Moishezon criterion)(Nakai 1963, Moishezon 1964)は、代数的閉体上の固有スキーム X 上のカルティエ因子 D が豊富であることと、X の任意の整閉な部分スキーム(英語版) Y に対して、Ddim(Y).Y > 0 であることとは同値であることを言っている。この特別な場合である曲線の場合は、因子が豊富であることと次数が正であることは同値であり、また、ある滑らかな射影的代数曲面 S に対して、中井・モアシェゾンの判定条件は、D が豊富であることと、自己交叉数(self-intersection number) D.D が(ゼロでない)正であることとは同値であることを言っている。従って、任意の S 上の既約曲線 C に対して、D.C > 0 を得る。 クライマンの判定条件(Kleiman condition)は、任意の射影スキーム X に対し、X 上の因子 D が豊富であることと、NE(X)の閉包、つまり、X の曲線の錐(英語版)(cone of curves)の中で D.C > 0 が任意のゼロでない元 C に対して成り立つことと同値であると言っている。言い換えると、因子が豊富であることと、ネフ因子(英語版)(nef divisor)によって生成される実円錐の内部にあることとは同値である。 Nagata (1959)はすべての曲線との交叉数が正であるが豊富ではない曲面上の因子を構成した。このことは、条件 D.D > 0 が中井・モアシェゾンの判定条件から省略できなく、クライマンの条件の NE(X) というよりも NE(X) の閉包を使う必要があることを意味している。 Seshadri (1972, Remark 7.1, p. 549) は、完備代数的スキームの上の直線束 L が豊富であることと、ある正の数 ε が存在し、X の中のすべての整な曲線 C に対して deg(L|C) ≥ εm(C) となることと同値であることを示した。ここに m(C) は C の点での多重度の最大値である。
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