移動するサイクル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/27 15:14 UTC 版)
代数的サイクル(algebraic cycle)がうまく機能するための機構とするには、疑問の中にあるようにサイクルの集合論的な交叉を取るだけではうまくいかない。確かに、交叉 V ∩ W あるいは、V · W で表される交叉積と共通して言われるものは、2つの部分多様体の集合論的な交叉からなるはずである。しかしながら、サイクルが悪い位置にあった場合、つまり、2つの直線が同一の平面上に平行におかれていたり、(3-球面(3-sphere)の中で)一つの直線からなる平面である場合である。これらの場合のとちらも、交叉は一点からなる。なぜならば、サイクルが移動すると、交叉を形成することになる。2つのサイクル V と W の交叉は、2つの(集合論的な)交叉の余次元(英語版)が V と W の余次元の和であるとき、つまり「期待されている」余次元のときに、固有(proper)であるという。 従って、移動するサイクルの考え方には、適切な代数的同値関係(英語版)を使う。同値関係は、与えられた任意の 2つのサイクル V と W に対して、交叉 V' ∩ W' が固有となるような同値なサイクル V' と W' がそれぞれに存在するよう十分に広く取る。もちろん、一方では、二番目の V" と W" との同値関係に対して、V' ∩ W' が V" ∩ W" に同値である必要がある。 交叉理論の目的のため、有理同値は最も重要な同値である。X 上の 2つの r-次元サイクルが有理同値とは、 (k+1)-次元部分多様体 Y 上の有理函数 f が存在し、つまり、函数体 k(Y) もしくは同じことであるが、函数 f : Y → P1 が存在し、V - W = f-1(0) - f-1(∞) となることである。ここに f-1(-) は多重度を考慮することとする。有理同値は上記で必要なことを満たしている。
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