交叉多重度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/27 15:14 UTC 版)
サイクルの交叉多重度の定義を導く原理は、ある意味では連続性にある。次のような基本的な例を考える。放物線 y = x2 と x-軸 y=0 の交叉は、 2·(0,0) である。理由は、もしサイクルの一つが動いたとすると(まだ未定義な状態であるが)、ちょうど 2つの点である交叉があって、描いた位置にサイクルが近づくと、両方とも (0,0) にまとまる。(右の図は、y=-3 の放物線の交叉がないように見えることは、明らかに誤っているが、この理由は、単に実数解に限った描写をしているからである。) 最初に満足のいく交叉の定義をしたのは、ジャン・ピエール・セール(Jean-Pierre Serre)である。周囲の多様体 X が滑らかである(もしくは、全ての局所環が正則局所環とする。さらに、V と W を 2つの(既約、被約かつ閉である)部分多様体で、交叉が固有であるとする。構成は局所的であるので、従って、X の座標環の中の 2つのイデアル I と J で(交叉)多様体が表せるかもしれない。Z を集合論的な交叉 V ∩ W の既約成分とし、z をその生成点(英語版)(generic point)とする。Z の交叉積 V · W の中の多重度は次によって定義される。 μ ( Z ; V , W ) := ∑ i = 0 ∞ ( − 1 ) i length O X , z Tor O X , z i ( O X , z / I , O X , z / J ) {\displaystyle \mu (Z;V,W):=\sum _{i=0}^{\infty }(-1)^{i}{\text{length}}_{{\mathcal {O}}_{X,z}}{\text{Tor}}_{{\mathcal {O}}_{X,z}}^{i}({\mathcal {O}}_{X,z}/I,{\mathcal {O}}_{X,z}/J)} , この交代和は、部分多様体に対応するイデアル環のねじれ(torsion)群の z の中で、X の局所環の上の長さを渡る。この表現はしばしば、セールのねじれ公式と呼ばれる。 注意: 第一のまとめ、 O X , z / I ⊗ O X , z O X , z / J = O Z , z {\displaystyle {\mathcal {O}}_{X,z}/I\otimes _{{\mathcal {O}}_{X,z}}{\mathcal {O}}_{X,z}/J={\mathcal {O}}_{Z,z}} の長さは、多重度の「ナイーブ」な想定であるが、しかし、セールが示したように、十分ではない。 和は有限である。理由は、正規環 O X , z {\displaystyle {\mathcal {O}}_{X,z}} は有限のねじれ次元を持っているからである。 V と W の交叉が固有ではないとすると、上記の多重度はゼロとなる。固有であれば、多重度は正となる(どちらの記述も定義からはすぐには明らかにならない)。 スペクトル系列の議論を使い、 μ ( Z ; V , W ) = μ ( Z ; W , V ) {\displaystyle \mu (Z;V,W)=\mu (Z;W,V)} をしめすことができる。
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