平面曲線の交叉多重度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/13 14:54 UTC 版)
「交点数 (代数幾何学)」の記事における「平面曲線の交叉多重度」の解説
3つ組 (P, Q, p) を K[x, y] の中の多項式のペア P と Q と、K2 の中の点 p とする。この 3つ組に対して、数 Ip(P, Q) を対応させる、以下の性質を満たす対応が一意的に存在し、p での P と Q の交叉多重度と呼ばれる。 I p ( P , Q ) = I p ( Q , P ) . {\displaystyle I_{p}(P,Q)=I_{p}(Q,P).\,} I p ( P , Q ) {\displaystyle I_{p}(P,Q)} が無限大であることと、P と Q が p でゼロとなる共通要素を持つこととは同値 I p ( P , Q ) {\displaystyle I_{p}(P,Q)} がゼロであることと、P(p) もしくは Q(p) がゼロでない(つまり、点 p はどちらかの曲線には属さない)こととは同値 p = (a, b) のとき、 I p ( x − a , y − b ) = 1 {\displaystyle I_{p}(x-a,y-b)=1} I p ( P , Q 1 Q 2 ) = I p ( P , Q 1 ) + I p ( P , Q 2 ) {\displaystyle I_{p}(P,Q_{1}Q_{2})=I_{p}(P,Q_{1})+I_{p}(P,Q_{2})} K[x, y] の中の任意の R に対して、 I p ( P + Q R , Q ) = I p ( P , Q ) {\displaystyle I_{p}(P+QR,Q)=I_{p}(P,Q)} これらの性質は交叉多重度を完全に特徴付けるが、実際にはいくつかの異なった方法で実現される。 交叉多重度のひとつの実現方法は、べき級数環 K''x'',''y'' のある商空間の次元を通しての実現方法がある。必要ならば、変数変換をすることで、p が (0,0) であることを前提としてよい。今、注目している代数曲線を定義する多項式を P(x, y) と Q(x, y) とする。元の方程式が同次であれば、これらは z = 1 とおくことで得られる。I = (P, Q) を P と Q で生成される K''x'',''y'' のイデアルとすると、交叉多重度は K 上のベクトル空間として K''x'', ''y''/I の次元である。あるいは、冪級数環ではなく局所環 O p ( A 2 ) = { f g ∈ K ( x , y ) : g ( p ) ≠ 0 } {\displaystyle {\mathcal {O}}_{p}(\mathbb {A} ^{2})=\left\{{\frac {f}{g}}\in K(x,y):g(p)\neq 0\right\}} を用いてもよい。 別の交叉多重度の実現方法としては、2つの多項式 P と Q の終結式(resultant) から実現する方法がある。p が (0,0) である座標では、曲線は y = 0 以外に交点を持たず、x に関する P の次数は、P の全次数に等しいので、Ip(P, Q) は(P と Q を K[x] 上の多項式と見て) P と Q の終結式を割る y の最高次のべきとして定義することができる。 また、交叉多重度は、曲線を少し摂動したときに存在する異なる交叉の数としても実現できる。より正確には、P と Q が開集合 U の閉包の中で一度だけ交叉する曲線を定義するとすると、K2 の (ε, δ) からなるある稠密な集合に対し、P − ε と Q − δ は、U でちょうどある数 n 回なめらかで横断的に交叉する(つまり、ことなる接する直線をもつ)。Ip(P, Q) = n である。
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